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犬馬の心






隣を盗み見ると名指しされた蘭が微かに震えている。
別の奴がニヤニヤしながら声を発した。

「お楽しみにきたよ、らーんちゃん♪」

「また騒いじゃうとお口塞いじゃうよ」

蘭の怯える姿と彼らの下品な笑みと話し方。
それで俺は察しがついた。

(…あぁ。そうか。コイツ等にやられたのか…)

こんなに素早く事の状況を認識できるのは俺にしては珍しい。
きっと8割方石井先輩のおかげだ。

「…蘭、お前は部屋に入ってろ」

蘭を侵入者達から隠すように俺の後ろに回して自室へと背中を押す。

「で、でも…」

「いいから。ソッコーで片付けてやっからよ。終わったらさっきの話の続きだ。…言い訳、考えとけよ」

俺の自信満々な物言いにコクリと頷くと、急いで部屋に入って行った。
しっかり鍵を掛けた音が聞こえたのを確認して侵入者達へと体を向ける。

さっきから苛立つ事ばかりしか起きねぇと思った所で、目の前の状況を見て自分の口元がニヤケて居る事に気付いた。

(はぁー…。やめようと思ったのに)

「オイオイ。お前には関係ねぇっつってんだろ。」

「あ?ルームメイトが世話になったんだ。きっちりカリを返すのがダチってもんだろ?」

「ダチって、マジで言ってんの?どうせお前も猫西と遊んでんだろ?取られるのが嫌ってか?」

その言葉に周囲の奴等からドッと笑いが起きた。
だが俺の態度は変わらない。それが尺に触ったのか別の奴が挑発した態度で近寄ってきて俺の肩に馴れ馴れしく腕を廻した。

「猫西にハマっちまったのか何なのか知らないけど、所詮アイツにとって皆セフレでしかないんだよ。だから、ソコ退け」

耳元で馬鹿にしたように囁かれた言葉に吐き気がする。






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あきゅろす。
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