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犬馬の心






掴んだ腕に力が入る。

「必要どうこうじゃねぇだろ!!!お前、自分が何やってんのか分かってんのか!?!?最低だぞ!!!」

パァンッ!!
突如乾いた音が部屋に響き渡った。
チカッと何かが光ったように、視界が一瞬真っ白になる。

「……!?」

驚きのあまり動けない。
…蘭が俺の頬を叩いたのだ。
口をキュッと結び、俺を睨む目は今にも涙があふれ出そうだった。潤んだ瞳に呆然した俺の顔が写っている。

「…犬なんかに…犬なんかに僕の気持ちが分かってたまるか」

「…ら、ん…?」

いつもと違う様子に戸惑いを隠せない俺は名前をぽろりと呼べただけ。


しかし、そんな事もつかの間。次の瞬間には俺と蘭の視線はドアに向いていた。

バァンッと乱暴にドアが開かれたのだ。
そこから見知らぬ数人の生徒がズカズカと入り込んできた。

「猫西いるかぁ?」

ドアには鍵がかかっていたはずだ。しかし、それを難なく開けられた。
彼らはまるで借金の取立てに来たヤクザのようにお構いなしに踏み込んでくる。
ただならぬ様子の彼らは蘭の姿を見るやいな、下品な微笑を浮かべた。

(…誰だ。コイツ等。)

取り込み中だったせいもあり、自然と声が低くなる。

「…なんだテメェ等。勝手に入ってきてんじゃねぇぞ…」

俺のドスの聞いた声と強面の顔面に前列の奴が怯む。
しかし、後ろの方に居た奴は随分と落ち着いていて「お前が芹沢?」と聞いてきた。
そのおかげで俺の強面効果が払拭される。
そいつは更に言葉を続けた。

「安心しろよ。お前に用はないから。…なぁ蘭」




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あきゅろす。
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