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犬馬の心






俺の返答に眉を潜めた。そりゃそうだ。誰かも知らない奴の部屋の前で俺みたいなのが何時間も座ってゲームしてんだから。
石井先輩はそうですかと呟くとすっと立ち上がってあろうことかドアノブに手をかけた。そして中に踏み込んで行ってしまった。

(マジかよ!!)

俺が廊下に待機させられえてる理由は分からない。
でも待たされて居ると言うことは第三者を介入させたくないという事で、それは蘭と部屋の主以外の俺を含めた全ての人に当てはまることだ。

つまり…


……この状況は不味いんでねーの??




******


慌てて中に踏み込むと、部屋の隅に隠れるようにして中の様子を伺う先輩が居た。
忍び足で先輩のそばに行く。

「せ、先輩…、人の部屋だし早いとこ出ねーと…」

ヒソヒソ声で呼びかけるが集中している様で俺の言葉は先輩の耳に入っていないらしい。
無視されるのはこの際どうでもいい。それよりも俺の気持ちは[早く出た方がいい]のひとつだけだ。

(こうなったら力ずくで…)

「猫西君ですよね?君が待っている友人は」

腕を掴みかけたその時、先輩はパッと振り向いて小声で聞いてきた。

「は!?なんで知って…」

「やはりそうですか。やっと掴めそうです。待っていた甲斐があった」

ぼそっと呟く様に言われたがはっきりと聞こえたその言葉。






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