犬馬の心
2
へへって笑った顔は無邪気な少年のよう。屈託のない純粋なキラキラと輝く瞳はまるで宝箱でも見つけた子供の様だ。
全く悪気のない彼の物言いは嫌味なんて皆無で言われたこっちも嫌な気分にはならなかった。
つーか変な事で有名になってるっぽくねーか…?
「アンタは…書記?」
「そう!書記の吉住!お前の先輩だからな。ちゃんと敬えよ?」
先輩はへへへっとまた子供っぽく笑った。
「あ!俺、急いでるんだった。もう行くな!」
「手伝いますよ?」
俺は先輩から荷物をひょいと持ち上げた。確かにこれは先輩にはキツイ量だが、俺にはなんでもない量。
「お、お前…すごい…」
*******
書記こと、吉住守(ヨシズミ マモル)先輩は明るくて人見知りの俺でさえしゃべりやすかった。
おかげであっという間に目的地の資料室に到着。
「ありがとな!」
「いや、暇だったし……あ!先輩!!!」
吉住先輩が資料を棚にしまって振り向いた瞬間、重さに耐え切れなくなったのか、棚が倒れてきた。
俺はとっさに吉住先輩と棚との間に入り、降ってきた棚と荷物を背中で受け止める。
ドサドサッと大きな音と共に床に倒れ込んだ。
「痛てて……芹沢!!!大丈夫か!?!?」
「…ッ…大丈夫っス。それよか先輩は?怪我してねぇっスか…?」
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