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犬馬の心







「はぁ?微妙だな!!!あはは!!」

(うるせぇな!俺が一番微妙だって思ってんよ!)

笑っているタケル。
しかし、俺が蘭の犬になったなんて知ったら大爆笑間違いない。

『犬!?!?あははは!!まじっ!冗談やめろよっ!!!あはは!!腹痛ぇー!!!!』……みたいな。

絶対バレないようにしねーとな。
ったく、蘭の野郎。弱味を握ってるからって好き勝手しやがって…。

少し気温の高いこの時期。
革のチョーカーは………ムレる。

(痒い。)

外したいが鍵を掛けられていて外せない。隙間に手を入れて思いきり引っ張れば壊せる気もするが………。
一瞬考えたが蘭の言葉が頭をよぎって手を止めた。

―――犬耳カチューシャ(私物)インユアヘッド+全裸で校内散歩―――


背中をツーっと嫌な汗が流れ落ちる。

(全裸散歩なんて…。刺青を見られるなんて問題じゃねぇ…!!!息子まで丸見えじゃねぇか!!!)

全寮制の閉鎖的場といえど、学園という公共の場なのは間違いない。
そんな場所でそんな事になれば猥褻物陳列罪で現行犯逮捕……。

…………ん?

(…犬は猥褻物陳列罪にならねぇんじゃねぇか…?)


【犬】


チーン。

自分で自分の事を【犬】と称してしまった事に、俺はショックのあまり意識を失いかけた。
かすれゆく視界の中で俺の名前を呼ぶタケルの姿…。

「オーイ!犬真ー?携帯鳴ってんぞ」






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