犬馬の心
2
怯みそうになる所を踏ん張って蘭を食卓につかせた。
無理やり起こされてブスッとふてくされている。
どうやら朝が苦手らしく、いつも綺麗に整っている髪があちこちに跳ねている。
こんな蘭を見たのは初めてで何だか新鮮だ。
寝癖と少し大きめのパジャマ……。
(…くっ、相変わらず外見は可愛いな…)
蘭を目の前にしてそんな事を思っているとふてくされてへの字に曲がった口がようやく開いた。
「……ねぇ。何で和食なの?」
「ん?朝は和食って決まってんだろ」
「決まってない!僕は朝はパンなの!察してよ!駄犬!」
「な…っ!」
開口一番それかよ!なんつー我が儘!!!
だいたい、蘭と食事を共にするのは初めてで朝はパン派など知るわけがない。
それにまるで別人のように態度が変わりすぎだ。
(やっぱ可愛くねぇーっ!!!)
「フン!」
ブッサイクに眉を寄せ、鼻をならした蘭。それでも腹は空いていたのか、箸を手に取って味噌汁を啜った。
だが一口含むとフリーズしてしまった。
「…………」
「な、なんだよ…?…不味かったか?」
何を言われるのかと不安になる。
母親が居なくて小さい頃から料理をしてた。だからそれなりに自信はあるのだが………。
「………週一」
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