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犬馬の心






「や…っ、あの、蘭、これは…その……


【ピロリーン♪】


……………えぇぇ!?!?」

慌てながらも口を開いた俺に、呆けたままの蘭は、なんと徐にポケットから携帯電話を取り出して刺青を写メったのだった。
頭では事故処理中なのかもしれない。その証拠に表情は相変わらずポカンとしている。それなのに蘭の身体は勝手に動いていた。
あれか。花火かなんかと一緒か?ヒュー、ドォオオンって突然打ちあがった花火を「わぁー綺麗ー」とか言って目は花火に釘付けなのに無意識に写真撮ろうとしてた、みたいな。

「……クスッ」

呆けていた蘭の口元が徐々に緩んでゆく……。

その表情に俺の心が妙な違和感でザワついた。

(あ…、そうだよな。花火なんかと一緒なわけねーよ。は…はは…)



蘭said→


目が覚めて体を綺麗にしようとバスルームのドアを開けて僕は固まった。
視界に飛び込んできた鮮やかに咲き誇る彼岸花とその中央に居る柴犬の“絵”に目を奪われたから。

(………なんて綺麗なの……)

僕の体は動かなかったけど頭は目の前のモノを消化しようとフル回転だった。
おかげでそれが単なる“絵”ではなく、ルームメイトの芹沢犬真の背中に描かれた物である事を認識できた。

…し……刺青…!?

刺青なんて見るのは初めて。
何故そんなのが一端の高校生の背中に…?
僕は徐に取り出した携帯電話で、慌てふためく犬真くんの刺青をカメラに収めた。

確実ワケ有りの“刺青(ソレ)”


………これは使えるかも…。






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あきゅろす。
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