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犬馬の心
1「何犬ですか?」「あ、俺ですか?柴犬です」





犬真side→

いつもの様に、タケルと食堂で夕食を済ませて部屋で寛いでいる時だった。
珍しく呼び鈴が鳴り、誰だ?とドアを開ければ、そこに居たのは酷く疲れた顔の蘭だった。

「オイ、蘭?蘭!!??」

ふらっと倒れ込んでくる蘭。
俺はそれを寸での所で抱き止めた。

「危ねぇっ!……オイ、蘭?」

「……スー…スー…」

「……寝てる…」

返事は無く、聞こえてきたのは一定の感覚で聞こえる寝息。
抱き止められているとはいえ、立った状態で寝てしまうとは一体どれほどの疲労…はたまた眠気にみまわれたんだ?


とりあえず、こんなドア先では拉致があかない。
俺は小さな蘭を横抱きにしてソファーまで運んだ。

蘭をソファーに寝かせ、自分はラグの上に胡座をかいて座った。
全く起きる気配のない蘭の寝顔をさりげなくチラ見する。
他人の寝顔をガン見するのはあまり宜しくないなと思っての俺なりの配慮。

しかし、チラ見では抑えきれるはずがない。
閉じられた大きな瞳を覆う睫は長く、うっすら開いた赤い唇は妙に色っぽい。

(相変わらず綺麗な顔してんなぁ……)

本当に同じ人間なのかと思ってしまうほど造りが違う。
押さえられない好奇心でまじまじと見つめているとあることに気づいた。

うっすらと赤い左頬。
右と比べると若干…腫れている…?

喧嘩三昧だった俺の目は怪我の要因くらい一目で分かる。

(………コイツ、誰かに殴られてやがる……)





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あきゅろす。
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