犬馬の心
2
僕以上に可愛い人は居ないんじゃないかなって思っちゃうくらい可愛い。
自分を可愛いと自覚するまでにはそれ程時間が掛からなかった。
幼稚園に行けば先生達の注目を浴び、公園では奥さま達のアイドルになる僕。
何処に行っても『可愛い』と言われない日はない。
そんな僕は、自分が男を虜に出来る事も十二分に自覚してる。
小中学校合わせた9年間、校内美人コンテストでは女子を抑えて9年優勝。
男女問わず、全校生徒に告白されて大騒ぎになり、全校集会を開かされた事もあったっけ。
(みんな僕の虜♪)
勿論、この容姿の所為で酷い目に遭ったこともある。
それでも僕はこの容姿を気に入ってるよ。
僕は当然の事ながら入学式の前から人気者。
色々な人に声をかけられ、部屋に呼ばれたりするからあんまり自室にも帰ってない。
その所為かルームメイトは廊下で会う度に声を掛けてくれる。僕の事を心配してくれてるみたい。
(まぁ
僕にはどうでも良い事だけどね!)
それにしても…あのルームメイトの顔…。すっごい強面だったなぁ。なんて言うかさぁ、悲惨?
なんか怖すぎて最早可哀想だったなぁ。
あんな顔じゃみんなからまともに相手されなさそうだし。
街を歩いたら職質の嵐じゃないかな?
僕にはスカウトの嵐だけど。
(……ん?あれは…?)
廊下を歩く、僕の行く手に1人の影が見えた。僕をじっと見つめてる。
どうやら僕を待ち構えているみたいだ…。
(誰だろ?僕は忙しいのに…)
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