犬馬の心
1『カワイイ』は僕のための形容詞
蘭side→
「大変!蘭くんの髪、跳ねてるよ」
「あ、本当だ。ありがとっ」
本日の授業最後の体育が終わった後。
制服に着替えた際にワイシャツにでも引っ掛けたみたい。
僕の跳ねた髪を見て、すかさず友達が櫛でといてくれた。
「蘭くんの髪は本当に綺麗だね。シルクみたいに柔らかいし、つやつや!」
「えー?そんな事ないよぉ」
友達は髪に触れる度に誉めてくれて、その度に僕は謙遜してしまう。
そんな僕の態度を見て、友達は可愛いって僕を抱きしめた。
「ねぇ、蘭くん。今日僕の部屋に来ない?」
「どうしようかなぁ。まだ課題が終わってないの」
「そんなの後で良いじゃん」
「駄目だよ。また、今度誘ってくれる?」
ね?とお願いすると友達は渋々了解してくれた。
僕は時計の針を気にしながら、友達やクラスメートに「また明日ね」と挨拶をして教室を出た。
このサラサラの茶色髪。
大きくてキラキラの瞳。
ぽってりとした赤い唇。
雪のように白くて、もちもちのベビースキン。
細くて華奢で守ってやりたくなる背中…
はっきり言って、
僕は可愛い。
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