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犬馬の心






事の発端は一通の手紙。
いつもの様に、自分の席でタケルと喋っていた俺に1人の生徒が話しかけてきたのが始まり。

「あ、あの!こ、こ、これ読んで下さい!!!」

びくびくしながら声を掛けてきた、そいつの差し出された手には無地の白い便箋が握られている。
俺への手紙である事は察しがつく。だが何故そんなものを渡されているのか全く分からない。
そのままでいるわけにもいかず、タケルに促されてとりあえず受け取った。

「ぼ、僕、隣のクラスに居るので、よ、よかったら返事…っ、下さい!!」

お願いしますと頭を下げられてしまい、益々戸惑うばかりの俺。

(…返事下さいって……あ…文通?文通してぇのか?)

「…あぁ、それならメールにしようぜ。メアド、教えてくれねーか?」

今時文通したいって随分古風な奴だな。育ちが良いからか?坊ちゃんは面白れぇ。

「ア…アドレス、教えて下さるんですか…??」

「オゥ。俺、芹沢犬真。犬真って呼べよ。よろしくな」

「は、はいっ!!!!」



そーかそーか。友達になりたかったのか。怯えながらでも俺に近づいてきてくれたことがすっげぇ嬉しかった。

「タケル、見たかよ?俺にだってお前以外の友達くらい出来るんだぜ?」

「くくく…っ!!!!ぶっ、あはははははは!!!!!」

「な、何だよ???」

「友達って!!違ーよ!本当に無知だな」

腹を抱えて笑うタケル。読んでみろよと促されて、封を開けてみた。ペンで丁寧に書かれた丸みを帯びた可愛らしい字。



そして内容に目を通した俺は固まった。






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あきゅろす。
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