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犬馬の心
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驚いた。
キュンって胸から音がして締め付けられた。トキメクってこういう事を言うのかも。

(すげーな、猫西。男までときめかせる…ただ者じゃねぇ)

「芹沢くん、面白いね。強面なんてそんなに気にする事ないよ」

「猫西……」

加えて、なんて優しい奴なんだ。

「まぁ、最初は僕も、強盗か強姦かと思ったけどね」

えへって舌を出して首を傾げた姿もなんとも愛らしい。

(男子高に強姦?それじゃ間抜け過ぎる強姦じゃねぇか。…猫西ってちょっと抜けてんな)

俺は何だかこの小さな天使が可愛らしい小動物の様に思えて思わず頭を撫でたくなった。
しかし、伸ばした手は猫西のふわふわの髪に到達する前に、【ピリリリリ♪】という電子音に止められる。
鳴ったのは猫西のポケットにあった携帯だった。猫西はそれを取り出すと、躊躇なく通話ボタンを押した。

「もしもし?」

会話を始めたと同時にソファーを立つ。
俺みたいに、入学式前日に来たのではなく、先に学園生活を始めて居た奴らは出来上がった友達も多いのだろう。

(俺も早く友達作んねーとなぁ)

来るのが遅かった上に、“ハンデ”でしかない顔…。

(猫西みたいに気にするなって言ってくれる奴も居るんだ。友達ぐらい出来るだろ)

一瞬沸き上がった不安を拭う様に自分に言い聞かせていると、電話を終えた猫西が俺の方に振り向いた。

「呼ばれたから行かなきゃ。ご飯、まだなら食堂に行くと良いよ。じゃ、行ってくるね」

「お、おう」

早々と喋ると、行ってしまった猫西。
戸惑いながらも軽く手を振り返して後ろ姿を見送った。
折角仲良くなれたのだから、夕食も一緒に食べたかったが仕方ない。

(…食堂かぁ…)






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