犬馬の心
6
「こんちわ。今日から……って……デカッ!!!!!」
目の前に広がるのは学園寮とは思えない程大きなリビングだった。
まるで高級ホテルのスイートルームの様なそこには、ソファーにデカい薄型テレビ、4人掛けのダイニングテーブルとカウンター付きの対面キッチン、そして3つのドアがあった。
(こんな所で暮らすのか???…すげぇ…)
余りの部屋の広さと綺麗さに声が出ない。だが、部屋を再度見渡した所でハッとした。
(……肝心の同居人が居ねぇ…)
シーンと静まり返っている部屋からして、どうやら今は不在だったらしい。
折角意気込んだのに、まさかの不在と言う事態。
拍子抜けした俺は、妙に上がっていたテンションが徐々に落ちてきて冷静さを取り戻した。
その証拠に、そう言えばノックするのを忘れたと今更ながら思った。
リビングの両サイドにある、似た感じのドア。
片方に近寄るとkenma Serizawaと書いてあるステッカーが貼られていた。
どうやらここが俺の自室らしい。
中に入れば案の定、広かった。
机の上にはビニールの掛けられた新品の制服。きっと明日の入学式から着れば良いのだろう。
(もう一個のドアは…)
手にしていた冊子をパラパラめくると、生徒達の部屋についてのページを発見。
(バスルームか)
炎天下の中をひたすら歩いてかいた汗を流す為にバスルームへ向かった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!