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犬馬の心





(な…っ、すげぇ…)

若干のハイテクさに驚きを隠せなかった俺を「フン」と小バカにしたように鼻で笑った声の主。
『管理人室に声をかけろよ』と雑に言い放ち、スピーカーのスイッチはプツンと切れた。

(職員か?態度悪ぃな…ってえぇっ!?!?)

敷地内に一歩踏み出した俺を待っていた光景は長く続く道とその先にそびえ立つ……し…城…?!?!

道の両脇には青々とした芝生。
そしてその先にはどっしりと構えた(しかし、何ともエレガントな)西洋風の城だった。

(こ…これが学校かよ…)

目の前に広がる新たな俺の学舎。
勉学に励む場所とは到底思えない城。

(俺…受けたとこ間違えたかも……)

イメージと余りにもかけ離れた場所に声が出なかった。
しかし、今更受験し直すなんて出来る訳がない。それに金銭的にも大分無理して受験した学校だ。

「はぁ…」

観念した俺は先程より一層重く感じる荷物を背負い直して城に向かって歩き出した。



******



重い足取りでたどり着いた管理人室とやら。管理人室の外装さえも城に合わせて作ってある。

(どんだけ凝ってるんだよ)

コンコンとノックすると中から先程のスピーカーの声の主が面倒くさそうに「はいはい」と答えてドアが開けられた。
手にしている書類に目を向けたまま、中から出てきた職員。
半袖のワイシャツを来た彼の肌は小麦色で、俯いた顔はハッキリとは分からないが鼻筋が通っていて二枚目のようだった。

(若いな。もっとネチネチしたオッサンかと思ってた)

職員は持っていたルームキー(だと思う)を差し出し、漸く書類から目を離して俺を見た。

「芹沢だっけ?これ、お前の…………っ!!!??」

そして固まった。

(はぁ…またかよ)

他人からのいつもの反応。
この反応に慣れっこになった俺は何も無かった様に「部屋の鍵ッスか?」と軽く言って鍵を受け取った。





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