犬馬の心
2
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(つ…着いた…)
1時間半と言う長い道のりを歩み、やっとの思いで学園に辿り着いた。
疲れすぎて達成感すら感じない。
(シャワー浴びてぇ…。……つーか……入り口何処…?)
目の前に広がるのは真っ白い塀塀塀。
これは確実に学園の敷地を囲う塀だ。だが、肝心の入り口が何処か分からない。
(広いって言われてたけど此処まで広いなんて聞いてねぇぞ…)
仕方なく塀にそって歩き続ける事30分。
漸く見えた、金や銀で造られた薔薇と蔦の凄まじい装飾の鉄の門。
その門のデカさに圧倒されつつも辿り着けた事に安堵の溜め息を吐く。
しかし、どうやってこんなデカい門を開けたら良いのか分からない。
(クソ。力ずくで開けるのか…?)
そんな馬鹿なと思いつつ門に手を触れた。しかし次の瞬間、ビーーーッと警報の様な音が辺り一面に鳴り響いた。
(なんだよ!?)
パッと門から手を離しあたふたしていると警報が鳴り止み、頭上から声がする。
よく見れば塀の上にこちらを見下ろす様に取り付けられた監視カメラとスピーカーがあった。声はそのスピーカーが発せられている様だ。
『おい。誰だ』
やたら態度のデカい声に若干の苛立ちを覚えたが、とりあえず自分がどうこうなる事は無さそう。
「今日からお世話になる芹沢です」
『新入生か。合格者番号は?』
「1991」
『…よし。入れ』
ガガガ…と大きな音と共に巨大な門がひとりでに開いた。
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