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犬馬の心
1新しい学校




俺、芹沢 犬真(セリザワ ケンマ)は高校生となったこの春、田舎から県をいくつか跨いで別の田舎へとやってきた。

田舎から田舎とか…。
あまり変わり映えのない風景。
周りを見渡せば、田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ田んぼコンビニ田んぼ田んぼ…みたいな割合の景色。


実家から新幹線と鈍行を乗り継ぎ、漸くたどり着いた駅は簡素なものだった。
機械の改札は無く、性格の温厚さを顔面で物語っているちょっとぽっちゃりした白髪まじりの駅員さんに切符を渡した。

「どうも。君は赤原学園の新入生かな?」

「あ、はい」

「そうか。頑張りなさいね」

駅員は優しくそう言うと満面の笑みで微笑んだ。

(この駅員さん良い人だな…)

人見知りの激しい俺は知り合いなんて一人も居ない新しい生活に少々不安があった。でも駅員さんの暖かい笑顔に触れてそんな不安が和らぐ。

何より、人を見た目で判断しない所が良い。
俺の顔を見て怯えない人に早速出会えるなんて。

幸先良好だ。



大きなボストンバックを抱えて駅の外へ出ると、春のくせにうざったいくらいのカンカン照りの太陽はジリジリと地面を焼いていた。
眩しさに片手で直射を遮って、目を細める。

(暑ぃ……。確かバスが出てるはずなんだけど…)

辺りを見渡すと、視界の隅に錆びついてこれまたおんぼろなバス停を発見。

(今は13時だから次は……さ、3時間後!?!?…田舎すぎんだろ……)

仕方なくこの炎天下の中、ひたすら学園まで歩く事を決意。





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あきゅろす。
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