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「こんなん終わんねーよ。壱後どんくらい?」


壱の家で数学の課題を3人でやっていた。まあ、早くも1人脱落したが。


「んー、あと2枚」


「まじかあ………え゛!!!2枚!?!?」


早すぎだろ!
俺やっと半分なんだけど。


「春は?お前、まじでやれよ」


隣で寝転ぶ春。机には落書きされたプリントが放置されている。


「壱に見してもらうからやんねー」


起き上がってペンを握るがまた落書きを再開する。


反対側に座り黙々と問題を解いている壱は、春を見ることなく「却下」と冷たく言い放った。


「えー!ケチ!!」


「ケチじゃねぇよ。少しでも良いからやれって」


確かに。
春のためにもなんないしな。


「ぶー」


机にうつ伏せて拗ねてしまった。


「提出、来週だぞ。全員出せなかったらまたプラスするって言ってただろ。春、出せないとみんなに刺し殺されんよ」


俺は春のプリントの落書きを丁寧に消しながら言った。


これ以上増えたら本当にリンチされそう。それだけみんな殺気立ってんからな。


「はあー…。やれば良いんだろー」


だらだらとだが、やっと始めた。
俺としても課題が増えるのはキツい。






この日もバイトがあったから俺は早めに帰った。

でもこの時はまたあの頭の片隅に追いやられた瞳に再会するなんて微塵も思ってもなかったんだ。

それを話すのはしばらく後になるけど。






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