3
泣きそうになっている春から、テストを取り上げた。
「あはは!まじで佐々山春って書いてんよ」
「間違えたあ」
机にうなだれる春。
嫁がれてんぞって、壱に小さな声で言ったら、うるせぇよって照れを隠すようにそっぽを向いた。
「春、まじ勉強しろ。これやばいって。壱に教えてもらえよ」
「うぅー‥。壱、教えてー」
うるうるの目で、前の席に居る壱に訴える春。
「………」
壱は上目使いのような眼差しで見つめられ、固まった。
プッ。断れんのかよ。
「………つ…堤に教えてもらいなさい」
可愛すぎると思いながらも、目をそらしてたどたどしく言う壱。
「は?俺?壱が教えてやれよ」
つか断んのかよ。
「俺は一般常識担当なんだよ」
「一般常識って。お前が教えてんのは一般常識じゃねーだろーが」
「まあ、良いじゃないか!86点の準優等生くん」
ポンと俺の肩を叩く壱。
準優等生とかうぜえ。
しかも点数見られてんし。
「そうだそうだー!!勉強教えたまえ、準優等生くん」
「調子に乗んなよ、馬鹿春。お前なんか「うわぉっ!!」点じゃねえか」
睨みながら点数を暴露しようとしたら、春は必死になって遮った。
…ちょっと楽しい。
「あぶねえな!!プライバシーの侵略だぞ」
「「………。」」
「春、お前もう喋んな」
壱は春の方に向き、春の肩にポンと手を置いて言った。
「言えてる」
「何でだよー!?!?」
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