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「…ん…」
ん…?あれ?ゲーム…。
あぁ、いつの間にか寝ちまったみてぇだ。
体を仰向けにして目をこする。
つけっぱなしになってる電気が眩しい。
ふと横を見ると膝を抱えて座る後ろ姿が目に入った。
…春?…ちげーな…
「…壱?」
「ん?あ、悪ぃ。起こしちまったか?」
「んーん、大丈夫。…どした?」
何かしているわけでもなく、ただぼんやりと座っているだけの壱が気になってだるい体を起こし、隣に座った。
「や、別に‥。考え事」
弱々しく笑う壱。
なんだ?めっちゃ壱らしくないんだけど。
壱は俺らの前では爆笑したり春をからかってガキっぽい笑顔を向けたりで、無邪気っつーのかな?
基本的には明るい。
でも、こんな風に複雑な顔して弱々しい壱は見たことがない。
心配になってうつむく壱の顔を覗き込んだ。
「…俺、もう無理…」
「え?」
蚊の鳴くような小さな声でぽつりと言う。
俺は一言も聞き逃さないように全神経を集中させて、耳を澄ませた。
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