その他 Where are you? 初めて彼に会った時、彼は木の上に登っていた。 私にとってパーティーなんてどうでもよかった。 半強制的なものだったし、退屈だった。 抜け出して休んでいたそんな時に初めて私は彼に出会った。 「君も抜け出してきたの?」 私は驚いた。 木の上から声が聞こえたからだ。 「俺はオズ=ベザリウス。君の名前は?」 彼は私の反応を待たずに話はじめた。 私が呆然としていると彼は木の上からトンと軽く下りてきた。 そして私に顔を近づけ首を少し傾けながらもう一度 「名前は?」 と聞いてきた。 「えっ、あの…エアル=アグレイトです。」 「エアル…。素敵な名前だね。」 そう言うと私の髪にそっと触れにこやかに笑ってきた。 「それではエアル様、愛の逃避行といきましょうか。」 「あ・愛の逃避行!?」 「そう!愛の逃避行」 そう言って彼は私の手をつかみ遠くへ走り出した。 この時から私は彼のことが気になっていたんだと思う。 彼を見かけるたび私は目で追ってしまう。 自分でも気づかないうちに…。 「あっ!エアルちゃん」 私が彼を見つめていると目が合い声をかけてくれた。 「久しぶり!」 無邪気に笑う彼とうまく目を合わせることができない。 それでも彼と話している時間は特別だった。 どんな時よりも楽しかった。 彼は今どうしているの…? 噂では死んでしまったという話もある。 彼のあの声をもう一度だけ聞きたかった。 【Where are you?】 (どんなに月日が経とうとも…) (ただもう一度だけと) [*前へ] [戻る] |