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その他
雨の日の訪問者

雨の日は正直好きじゃない。


外に買い物にも行けない。

服は濡れる。


靴もびしょびしょになる。

それに…
あの人にも会えない。



窓の外を眺めるとさっきと変わらず雨が降り続けている。



「はぁー」


自然と溜め息が出てしまう。


テレビを見ていても、本を読んでいても


「つまらない!」


何でこんなにイライラしてるのか…。


原因はわかっている。


会えないからだ。


晴れている日、あいつはいつもふらふらと池袋の街を歩いている。



私を見つけてはいつでも争いごとに巻き込もうとする。



それでも私は会いたくなる。あんな奴に。



家に行けばいいのだが、わざわざあいつのために会いに行くのは私のプライドが許さない。



でも…
「会いたいな…臨也。」



《ピンポーン》



チャイムの音がした。


私は少しの期待を持つ。


(会いに来てくれたのかな!)


しかし、その期待はあっさりと崩れた。


「郵便です。」


郵便物を受け取り溜め息と一緒にドアを閉めた。



「郵便でーす」



「はい?」
(さっき来たばかりじゃん)



困りながらそっと玄関のドアを開けた。


そこに立っていたのは会いたい会いたいと願っていた彼がいた。


「何で俺の家に来ないのかな?」


私は瞬間的に反抗していた。


「だって、来いなんて言ってないじゃない」


「確かに言ってないけど来るなとも言ってない。まぁ、君のことだから“自分のプライドが許さない”とかいう理由なんだろうけど。」

まさか心を読まれているとは…。


私の顔は多分引き攣っていた。


「あっもしかして図星?まったくプライドなんか捨てて俺に服従なんかしてみちゃったりなんかしない?」


こいつは相変わらず何を言っているのか…。


私は溜め息をひとつ漏らし手で顔を覆った。




「捺祈」




不意に名前を呼ばれ私は顔をあげた。


突然だった


私と彼の唇は重なっていた。



「これで捺祈は俺のものになっちゃったかな」


ニコニコと怪しく笑う彼。

私はもう一度溜め息を漏らした。


(あぁ、私はほんとに臨也に惚れちゃってるよ)


今度の雨の日は私から彼に会いに行こう…。




【雨の日の訪問者】




(「今度の雨の日もちろんは捺祈から会いに来てくれるんだよね?」)

(「うん。」)

(「やっと服従してくれた」)

(………こいつは。)

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