夕日は私を嘲け笑うだろう(赤司)
夕日がさしこむ教室に私はただ1人で立っていた。
何故私が此処に1人寂しくいるのか…それはある人を待っているのだ。
待っていると言っても私が呼び出した。
放課後待っている、と。
来てくれるのだろうかと少しの不安を抱えながら私は待った。
あの人との出会いは突然だった。
その日、私はやりたくもない花壇の水遣りを先生に押し付けられ半ばイライラとホースで水をあげていた。
何故私がやらなくてはいけないのだとブツブツ呟いていた私はさぞかし変人であっただろう。
しまいには、うがぁぁぁぁっと叫び乱暴にホースを振り回していた。
だがそれが失態だった。
振り回した方向に人がいたのだ。
ホースからは勢いよく水が放出されており、見事にその人の真っ赤な頭のてっぺんから爪先までびしょ濡れにしてしまった。
それがあなただった。
成績優秀で運動神経がよく、容姿も優れているなんとも憎たらしいあなたに。
ファンクラブも出来るほどにあなたは人気だった。
凡人の私には到底あなたと関わるなんて思ってもおらず、まさかの初対面がこのような形になるなんて想像しているはずもない。
サーっと血の気が引いていくのを感じ、あわあわと慌てふためいているとあなたはハハッと笑った。
水をかけてしまった罪悪感にいきなり笑い出すあなたが分からず頭の中はパニック寸前だ。
一通り笑い終えたあなたが私に悪いと一つ謝り大丈夫だとふわりと微笑む。
その微笑みに私の心臓がドクリっと動いたのがわかった。
顔が熱くなるのを感じ、小さい声で謝って私は駆け出していた。
私は生まれて初めて恋をしったのだ。
それからというものの廊下ですれ違ったときは目で追い、友達があなたの話をしているのを聞けば耳を傾けてしまう自分がいた。
初めて恋をしたんだ、これが片思いなのか…っと初めての感覚や気持ちに胸を高鳴らせた。
頬が緩むのを抑えることなんて出来ずに、ニマニマしている私の顔を見て友達は気持ち悪いと言い頭を叩くのが日常となっていた。
それほど長い間あなたに片思いをしていた。
私の恋が目覚めてから数日が経ったごろだろうか。
登校途中、ぐらりと視界が揺れ電柱に咄嗟によりかかった。
そのおかげで転ぶことは防いだが立っているのもきつかった。
その後、どうやって学校に来たのかは正直言って覚えていない。
思考が戻ってきた頃には保健室のベットで横になっていた。
どうやら教室に入った私の顔色が悪かったらしく友達がつれてきてくれたらしい。
しばらく、保健室の先生が何を言っているのかわからなかった。
起きたときには放課後で、よく眠ってたわねと困ったように笑い具合を聞かれたので大丈夫だと言って帰る支度をしていたときに先生から衝撃の一言が発せられた。
_____あの人が切羽詰った様子で私の様子を見に来た…と。
何故なのかはわからない。
あんな出会いをして、ろくに謝りもせず逃げた私なんかを何故…?
私の平凡な頭ではその答えを見つけることが出来なかった。
その日以来あなたは何かと私のクラスに来るようになった。
といっても同じ部活の人に会いに来ているらしく、教室の中で団欒している。
少しばかり期待してしまったじゃないかと友達の机を蹴って頭を叩かれたのはまた別の話。
_____しかし私の幸せや期待は脆くも儚くくずれたのだ。
聞いてしまったのだ。
先輩が自慢げに話しているのを。
『あなたと付き合っている』
ということを。
どうせ、そういうオチだってわかってたよ。
期待なんかするだけ無駄だったんだよ。
そういわれている気がした。
その時に決断した。
いっそのこと、さっぱりフラれれば期待なんか少しもなくなるんじゃないかって。
そう思った。
物思いにふけてしまった。
部活は少し前に終わったのでもうそろそろで来るのではないだろうか。
ふわぁっと欠伸をするとともに、待ちわびていたあなたがガラッという音をたて教室の扉が開けた。
あぁ来てくれた。
ずっとずっと言いたかったんだ。
ねぇ聞いてくれますか?
私のこの思いを。
夕日は私を嘲け笑うだろう
((あなたのことのことが好きです))
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アンケートの結果赤司君でしたね、やはり^^
ですので赤司の短編を書いたのですが、わかったのでしょうか。
赤い髪、ってところでしか分かりませんよね^^;
すいません。
本当は甘くしたかったのですが、すこーし切なくしてみました。
いや切なくなっていませんけどww
最後に、投票ありがとうございました!
これからも紅の音をよろしくお願いします*
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