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冬「忘れな書簡」
睦月
寒かった。
耳に、鼻に、冷たい風が吹き付ける。
先程から、ちらちらと白いものが舞っているような気もする。
早く帰らねば、と思う。
吹雪になったら立ち往生するかも知れないからだった。
わたしは藤色の風呂敷包みをきつく抱え込む。
桐箱の中にあるものが、からからと小さな音を立てた。
外套に白雪が付いている。
本格的に雪が降り始めたようだ。
早く帰らねば。
わたしは溶けない雪の落ちる道を、少し早い歩調で進んだ。
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