(ただしドS流)
<七>
「……行っ、ちまいやしたね」
「……行っちまった、な……」
土方と総悟は顔を見合わせ、どちらからともなくベンチに座った。
「……すいません、土方さん」
「あん?」
「せっかくの誕生日なのに、勢いで変なこと言っちまいやした。……忘れてくだせェ」
土方はその時、総悟が自分をここに連れて来た本当の意味を理解した。
自分を喜ばせようと思ったのだ。
……誕生日だから。
「ーー忘れねーよ。忘れてたまるか」
「え?」
しまった。
何言ってるんだ、俺は。
「土方さん、それどういう……」
「だから! だからその、それは……そういうことだよ」
「ーー土方さん!」
「ばっ、抱き付くな!」
それから総悟は顔を上げて、
にやりと笑った。
「……濡れちまいやしたねィ、土方さん」
「お前がやったんだろ……」
「ジュース、いっこになっちまいやした」
「だから?」
「……一緒に、飲みやすかィ」
ーー土方はつい、頷いてしまった。
そして総悟は土方の耳元に顔を寄せ、低い声で言った。
「ついでに、濡れた服も脱いじまいやすか」
土方は流石に頷くわけにはいかなかった。
おわり
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