(ただしドS流)
<五>
「ぎぃやああああ!」
「土方さん、うるせー!」
「ちょ、タンマ! タンマ!」
「無茶言っちゃいけませんぜ、土方さん!」
馬鹿な。
何故コイツはこんなにも平然としていられるんだ。
土方はようやくコースターから降りると、ぐったりとして柱にもたれ掛かった。
「何してやがんでィ。もういっちょ行きやすよ、ほら」
「ば……馬鹿言え、何回目だと思って……」
「なに、まだほんの六回でさァ」
馬鹿かこいつは。
どうして出口から入り口にまっしぐらなんだ。
いい加減心臓に悪い。
「なんでィ、ヘタレ」
「もうなんでもいい……とにかく休ませろ……」
「しょーがねェな」
土方と総悟は近くのベンチに腰を降ろした。
風が涼しくて、心地良い。
「土方さん、ちょっと待っててくだせェ」
「どこ行くんだ」
「なに、ちょいとね。……なんでィ、寂しいんですかィ?」
「んなわけあるか」
愉快そうに笑い、総悟は何処かへ行ってしまった。
決して寂しいわけではないが、こうも人の多いなかで一人取り残されるというのは、どうも心許ない。
「……ん?」
ふと前方に目をやると、誰かが遠くの茂みに屈み込んで何やらげえげえ言っていた。
「……酔っ払いか」
土方はもう、何故こんなところに酔っ払いがいるのかなどと突っ込む気力も失せ、適当にスルーした。
だが、次の瞬間信じられないことが起こった。
酔っ払いがこちらを向き、あろうことかこっちへ歩いて来るではないか。
ちょっと待て、俺には酔っ払いの友人などいない!
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