(ただしドS流)
<四>
ーー結局、土方と総悟は桂を見失った。
ただでさえ広い園内だ。
もしもその上更にスタッフルームなどに逃げられていたとしたら、土方達にはどうしようもない。
「……見失っちまいやしたね」
「ああ……」
ベンチに腰掛け、二人して息を整える。
「残念。せっかくカブキランドくんだりまで来たってのに」
「……お前、知ってたのか。桂がいること」
土方が訊くと、総悟はにやりと笑った。
「まァ、とある筋からのタレコミでねィ」
それを聞いて、土方はようやくここに連れて来られた意味を理解した。
奴は最初からそのつもりだったのだ。
カブキワンコに近寄るなんて、珍しくはしゃいでいるなと思った土方が馬鹿だった。
「ったく、なんでわざわざ休みの日にこんな……」
「土方さん、今日休みだったんですかィ? 俺ァてっきりサボりかと」
「んなわけねーだろ」
土方は馬鹿らしくなり、空を仰いだ。
晴天の空は、広くて青い。
「いい天気ですねェ、心に沁みまさァ」
「ああ……もうどうでもいい……」
土方は目を瞑った。
どうでもいい。
もう本当にどうでもいい。
早く帰ってマヨネーズご飯が食べたかった。
「……ね、土方さん」
「あん?」
総悟がじりじりと土方の方に寄り、耳元で言った。
「せっかくだから、普通に遊んで帰っちゃいやしょうか」
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