(ただしドS流)
<一>
「ひーじーかーたーさーん」
嫌な予感がした。
あいつがこんな風に甘えた声を出す時は、決まってろくなことがない。
土方十四郎は、せめて今日くらいはゆっくりさせてくれ、と心底願った。
だがそんな願いも虚しく、襖が開いてあいつが入って来た。
「土方さん、何してンですか。こんなに良い天気なのに」
「……ほっとけ」
「そういうわけにはいきやせんよ、残念ながら」
あいつーー総悟はそう言うと、土方の腕を掴んで強引に部屋から連れ出した。
「オイ、何しやがんだ! 離せ! 何処行くんだよ!」
「まァ、アンタは黙ってついてくりゃ良いんです」
「ざけんな、離せ総悟ーー」
ぴた、と総悟の歩みが止まる。
引き返すのかと思ったが、総悟は黙って刀を抜いた。
「……黙って、ついて来てくだせェ」
「う……」
土方は渋々歩き出した。
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