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小説2
彼らの日常
※ほぼ会話のみ。


フランが主のいる王広間から出て、廊下を歩いていると向こうからダイアナがやってくるのが見えた。

「こんにちはダイアナさん。その千切れた腕ルーファス様にやられたんですか?」
「そうなのよ、まぁすぐ生えてくるからいいんだけど。フランこそ血濡れの脇腹が床を汚してるわよ」

おっと、床を掃除しなければ。と笑っているフランにダイアナはため息をついた。

「私たちでこの様なら中低級は全滅かもねぇルーファス様怒り狂ってたもの。仕方がないとはいえ、転魔の儀でジェム様を他の奴に触られたのがよっぽど嫌だったのね」
「えぇ。今見てきた王の間は血みどろでしたよ。まさに千切っては投げ殴っては投げ…という具合でした。あっ」

しばらくダイアナと雑談していたのだが、ウォルが険しい顔でこちらにやってくるのが見えたため中断した。
ダイアナをほぼ敵認定しているほど大嫌いな彼が、自ら近づいてくるなど滅多にない。

「どぉしたの?ウォルちゃん」
かなり怒っているようで、半分獣化しかけの形相で憎々しげに牙を唸らせながらウォルがどなった。

「ダイアナ貴様…仕事を溜めたままのうのうと遊びほうけていないでたまには責務を果たしたらどうなんだ!」
「え〜そんなの適当でいいじゃない。かたっ苦しい雑務なんて私には向いてないのよ」
「確かにダイアナさんが進んで仕事なんかしだしたら
明日は魔槍が降りそうですよね」

相槌をうつフランに「でしょ〜?」とダイアナもほわほわと間延びした口調で笑い返す。

「いい加減にしろ!お前がきちんと統率しないから俺が全部引き受けてるんだぞっ」
「もぉウォルちゃんたら相変わらず真面目でお堅いんだから。魔物のくせに堅物でストイックだなんて信じらんない。欲望を抑え込まないで素直に出せばいいのよ〜下のお口の締りは最高なのに」
最後にボソッと呟いた猥談めいた言葉はしっかりウォルの耳に届いたようで、ウォルが切れてダイアナと一悶着あったが、ダイアナがうまくウォルを抑え込んで廊下崩壊の危機は免れた。

「あんまり騒いじゃダメよぉ」
「離せこの下郎!危険因子として始末して頂くようルーファス様に進言してやるっ」
「ウォルさん、気持ちはわかりますが今は主のお傍にはいかない方が良いですよ、特にあなたは別の意味で危険なので…」
「そうねぇ今ルーファス様切れちゃってるからウォル見たら殺しはしないだろうけどグチャグチャに犯して嬲りそうよね(笑)」

それまで騒いでいた彼はピタリと口を閉じた。
さすがに主の相手をするのは固辞したいらしい。
ダイアナが楽しそうに「じゃぁ代わりに私といいことしよっかv」と笑うと、ウォルは全身の毛を逆立て渾身の力で逃げ出し走って行った。
残念〜と目を細くしてウォルの後ろ姿を追うその目が、獲物の丸呑みを楽しむ捕食者のそれになっているのに気づき「弱肉強食、今日も泰平」とフランはウォルに手を合わせたのだった。



ちょっとコメディチックな彼らの日常編でした。
ウォルさんはも、ち、ろ、ん受けです。んで以前ダイアナ様においしく食べられちゃったことがあったりします。しかも衆人環視の中(笑)
そちらもそのうち書きたいです。



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