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小説2
黒翼塔の王冠

※かならず必読※は読まれましたか?

★(再度注意)番外編は読まなくても話しは通じます。この番外だけベルセルクの二次元のような内容になるので、元ネタを知っていらして抵抗ある方は読まない方がオススメです。
好きだよガッツたんは総受けだろこんちくしょうって方だけお楽しみください。



――――…‥



ルーファと俺は幼い頃からの友だった。
俺より多少細身なはずなのに、誰よりも美しく強いあいつには一度も勝ったためしがなかった。
やがてお互い青年になり、ヤツと共に街を出て傭兵として城を転々としているまに数人、数十人と仲間ができ、いつの間にかそれが数百、数千となっていった。
どんな城の大隊より強く大きくなり、周囲には恐れられ、一目置かれるようになった。
あいつの夢は、一国一城の王になることだ。

やがて、ある国に落ち着きその国の専属として多くの手柄をあげ、俺達の隊、そして隊長のルーファは最上の名誉を受け、後少しで一人娘の姫を娶(めと)り、国の王になる間際だった。

…ここで俺は最大の過ちを犯した。

もうルーファには俺が居なくとも大丈夫だろうと思ったのだ。名誉と栄華を極め、光の中の絶頂にいるルーファには、俺がついていなくとも大丈夫だろうと思った。
性に合わない大隊長などして何千の部下を動かすより、俺は単騎で敵の真ん中に突っ込んでいって暴れる方があっている。
だからしばらくは自分の好きなようにして好きな所に行きたかった。傭兵をし出したころからの古い仲間であるキャロルと共に、城を出た。キャロルは女だてらに俺と同じ大隊長を勤め、ルーファの城での仕事も手伝う頭の切れるヤツだ。

だが、それに気づいたルーファに止められ、真剣の勝負になり、そして…俺がかった…

地面に座り込むヤツをおいて、泣くキャロルの肩を抱きながら振り返らず俺はその場を後にしたのだ… 

並の戦士よりはるかに強い俺達二人は、気ままに色んな街を見て回り、男女の仲にもなった。俺はキャロルを愛し、キャロルも俺を愛したのだ。

しかし、幸せな時間は続かなかった。ルーファや俺達の隊がいた国の、忌まわしい噂を聞いてしまったのだ。
国を支えていた隊団の団長が、あろう事か国の王を暗殺した嫌疑で捕まり、隊団は攻め立てられて散り散りになったというのだ。

俺とキャロルは慌てて国に戻り、散ってしまった仲間を集め、全員で城に攻めこみルーファの元へ向かった。
この夜…俺は自分で引き金を引いたのだ…

薄汚い地下の牢で、手足の健、舌を切られ、顔や足、背中の皮を剥がれたルーファを抱き上げた時から、世界の終演は始まった。


元のルーファの面影はもう全くないのに、その金の瞳だけが真っ直ぐと俺を射抜いた。
闇の深淵を映したその目に捕らわれた瞬間、周りを取り巻く景色が真っ黒に変わった。
空に真っ黒な太陽が輝き、闇の中から山のようにでかい異形の化け物達が這い出てくる。
仲間達が一人、また一人と闇に消え、あちらこちらで無惨な悲鳴が響き、バキボキと鈍い音が辺りに満ちる。
そんな中、ルーファの上にだけ、黒い羽が天から降り注いぎ、やがてその羽に包まれるようにして羽の球体の中にルーファが呑まれる。強く掴んでいたはずなのに、離したつもりは無いのに、いつの間にかルーファの手は柔らかな黒い羽の中に消えていた。

そのまま、羽ねの球体は天高く光の中に呑まれ、黒い太陽の中にのみ込まれた。

その瞬間、周り中を這う大きな怪物たちから絶叫に近い歓喜の声が轟々とあがり、肉の地面が揺れ割れていった。
俺はキャロルを探した。まだ駆け出しの傭兵のころから仲間だった奴らの肉片を見ては慟哭しながら、キャロルを探した。
そして見つけた。
中央の祭壇のように盛り上がった宴上に服を無惨に剥かれ、天に捧げるように触手で拘束されたキャロルの姿を。
俺は何かを叫びながら祭壇に登ろうとした。しかし後少しというところで背後から迫ったおぞましい魔物や触手に捕まり四肢を縛られる。
そうしている間に、天が割れ、太陽が破れ、黒い何かがゆっくりと堕ちてきたのだ。何かを生み堕とすように。それは真っ黒な翼を生やし素肌に黒布を纏ったルーファだった。
魔物達は歓喜し、その誕生を跪いて血の涙を流しうごめいている。
ルーファは見たこともないような笑みを浮かべ、俺とキャロルを見ていた。

………その後は本当の地獄だった……



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あきゅろす。
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