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小説2
黒翼塔の王冠

目の前の異様な生き物にジェムは激しい寒気を憶えた。
幼い見た目の顔に浮かぶ異端な表情が、間違ったピースのようにかみ合わない。
フランは今も変わらず、狙い澄ましたように、明らかに上からの視点でジェムを見下ろしていた。
そのどれもがただの子供には出せない異様さだった。

しかし、ここでこの魔物にいいようにされる訳には断じていかなかった。

「お前みたいな子供に何ができる…ずいぶんと大層なことを言うが、お前のような子供のほうがよっぽど慰み者にふさわしいじゃないか」
稚児(ちご)としてルーファに飼われている方が似合いだな、とジェムは嘲笑も露わに吐き捨てた。
少しでも威圧して、相手の隙を誘いたかった。
しかし、フランは表情一つ動かさず、ジェムに徐々ににじり寄ってくる。
「ルーファス様は僕など相手になさいませんよ。あの方が愛し…執着するのはあなただけだ」

少しでも距離をとりたくて、ベッドの上を後ずさる。先ほどルーファにも感じた異様な威圧感に、緊張が走りフランの近くにいたくなかった。
「逃げられませんよ」
しかし、こいつら魔物はすぐに追いつき、どこまでも追いつめる。
フランが、可愛い胸ポケットからシワくちゃの植物の種のようなモノを取り出しベッドの前に置いた。
そして指をスッと上げ、パチン!と打ち鳴らした。
すると、みるみる間にその種から緑の触手のようなモノが育ち、ジェムの前でどんどん大きくなっていった。
「なっ!何をする気だ離せ!この…」
気味の悪い触手の植物は、グニョグニョと蠢きながらジェムに迫り、何度振り払ってもさらに強く絡みついて来る。
とうとう体を押し倒され、拘束されてしまった。布を剥ぎ取られ、両足に絡んだ触手がゆっくりと足を割っていく。フランがじっくりと視ている中、片膝を立てられ、腰を持ち上げられた。
(い、いやだ…!)

この数日間で確実に奥底へ刻まれた恐怖が騒ぎ出す。足を無理やり広げられる感触がたまらなく恐かった。
朝の光が強い。明るい中で秘部がさらけ出される。広げられた太股や、きわどい足の付け根には、所有痕のように紅い鬱血が集中していている。明らかに男によって陵辱された後の体だと誰もが一目でわかるだろう。
ジェムは死にたくなるような激しい羞恥に顔を歪め、下へ伏せた。

フランは笑いながら、ベッドへ上がり、割られた足の間へゆっくりと這ってくる。立てられた片膝に手をかけさらに広げられた。上から見下ろすようにゆっくりと胸へ手を這わせてくる。
その感触にピクッと肩が跳ねたのを笑われた。

「さぁ…古(イニシエ)の儀式を始めましょう」
虚勢で押し隠した怯えを見透かされる。
こんな小さな子供などに、怯えているなどと絶対に認めたくなかった。
しかし、悪夢の時間はもう始まったのだ。

『百の魔の最初の一匹は…僕です』

フランは魔物にふさわしい、残虐な笑みを浮かべ、ジェムの頬に口付けた。




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