[携帯モード] [URL送信]

小説2
黒翼塔の王冠*

もう何度もイきそうな絶頂を間近にしているのに、そのたびにはぐらかされ、全身のうずきを抱えたまま、体を幾度も痙攣させる。
ルーファに中を指で掻き回され、胸の突起をいじり回された。固く腹にまで反り返り、赤みを増して震える大きな性器は触手に縛られたまま嬲られる。
そしてヤツは何度も首筋やうなじに熱いキスを落とし、紅い所有権を刻んでいった。
「ふぁ…ぃあッ…ぅく!」
「ジェム…だいぶ中が広がってきたな…わかるか?」
中をうがつ指は今や三本に増やされていた。丁寧に、かつ激しく中が擦られ、少しずつ広がっていくのがわかる。
ジェムの体がビクンッ!と全身がしびれるほどの感覚に跳ねた。
「…んんぁ―ぃあぁ゛!!?…な、にを」
ゆるく出入りしていた指が、中をぐるりと大きく掻き回した時に、あり得ないほど感じる箇所をかすったのだ。
「…ん、ここか?お前のいい場所は」
ルーファは目を細めて笑いながら、探り当てた中の瘤をなで上げ、なんの躊躇もなくコリッ!とすりつぶした。
「ぅう―ヒッ…んぁぁああ゛―!!?…アァ゛」
うずいて堪らない体を突き落とす射精感に、全身がわななく。しかし、後少しで尿道から吹き上げるはずだった白濁が、性器の根本を触手で縛られ遮られたのだ。
せり上がった精子が逆流する苦しさに、ジェムの体が痙攣しガクガクと震えた。
「は…ぁ、あ、あ、ァ゛」
ジェムは精液を出さずに初めてイったのだった。

「いつ射精していいと俺が許した」
ルーファが、ビクビク跳ねる性器の裏筋をツーとなで上げ、敏感な先端にダラダラと流れる先走りをこすり付ける。

「お前が出せるのは、俺がお前の中に出した後だけだ」
震えるジェムの体を押さえつけ、耳たぶをネットリと舐め上げながら、ルーファはまた中の瘤をゆるゆるとなで上げる。

「ふぁっ―やぁ、もッ…さわ、んな…さぁる、なぁ―ぅっ、ひん」
イッた直後の敏感な体を嬲られ、体の痙攣が止まらない。
痛烈すぎる快楽に耐えきれず、ジェムの目から涙がポロポロとこぼれた。
その涙を舐めとり、優しく、労るようにルーファはジェムの頭を撫でる。
心底愛おしげに頬を撫で、髪をすき、しかし絶えず指は中で動かし続けながら、上がるジェムの喘ぎ声にウットリと聞き惚れていた。

かすむ頭はもう使い物にならない。体は自分の意志を離れ、目の前の男に蹂躙され、好き勝手にされている。
もうジェムの中で、絶えず燻り燃え続けるものはたった一つだけだった。

ジェムは朦朧とする目をギュッと深くつむり、息を止める。

それは深く黒く重く、煮えたぎる臓腑の味がするほど血なまぐさい、純粋な…


……殺意

ジェムは頭を愛おしげに撫でるルーファの手首へ、獣のように唸りながら噛みついた。

贄(にえ)として大勢の仲間達と引き替えた、目の前の命になんの価値があるというのだろう。
目の前で手足を引きちぎられ、五腑を引き裂き内蔵をすすられて死んだ仲間達の無念は今も地獄のそこを這いずっている。
己の愛した女は男に犯され、気がふれて今も犬のように皿に顔を入れながら飯を食っているのだ。
目の前の男はもう人間でも自分の友でもなんでもない。犬畜生に堕ちて見下げ果てたただの肉塊だ。
ルーファの手首を喰い千切らんばかりに噛みしだき、ジェムはくぐもった声で怨嗟する。

「ころして、ゃる…こぉして、ゃる!ゅるさな、ぃ…!」
憎悪、嫌悪、侮蔑、屈辱、怒り、怨嗟、全ての憎しみがこめられた燃えるような暗い目で、ジェムはルーファを睨みつけた。

ルーファはジェムの目を見つめ、恍惚とした表情で、狂気を謳歌するがごとく興奮し頬を染める。

「あぁ……お前の目に映る全ての感情が狂おしいほど愛おしく心地良い」
ジェムの感情は、唯一ルーファの無機質な心を震わせる最上級の媚薬となるのだ。

ルーファはゆっくりと、ジェムの心臓の上へ恭しくキスをした。




[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!