2 ぐわんぐわんと頭が揺られるのを感じた。 私はここの世界へやって来たときのように目を閉じたまま起きた。 早数日前、朝早くに城主の部屋へと赴いた。些か失礼に値するのではないかと思う時間ではあったが急ぎだったので返事の無い部屋へと踏み入れた。 中に伊達政宗はおらず、だだっ広いその部屋は静寂で包まれている。私は仕方なく急ぎであった内容と私事を筆で達筆し奥州を出たのだ。 きちんと「我は籠の中の鳥にあらず、探さないで」と置き紙しておいた。馬を借り、刀を借り私は米沢城を出、今に至る訳だ。 どうにもこうにも夢を見ているような感じがなく、身体、頭共に揺れるのはおかしい。これじゃあまるで馬に乗っているみたいだ。 ゆっくりと重たい瞼を持ち上げ視界が広がって行く。しかし、その視界は真っ赤だった。 「ぎゃあああ!」 突然の赤の登場に驚いた私は大声を上げた。 「! っくそ!」 私の理解を超える速さで視界、場面は変わり、目の前には人がただ映っていた。 「破廉恥で御座るううううう!」 男の雄叫びが私の耳に響く。それに私は反射的に目を瞑って耐えた。 「どうしたの旦那!?って、なんで乗られてんの?」 つまり、そういう状態だったのだ。 私が例の赤の男の上に覆いかぶさるように四つん這いになっていた。この場合どう起き上がればよいのか分からない私は取りあえず出てきた男に助けて貰い、何とかその場は収まった。 [*前へ][次へ#] |