受胎BL@〔2018・6月アンケート第一位〕
【男同士でエッチして片方が妊娠しちゃう世界】(アンケート期間は、もうちょい継続ですが、投票数から一位は確実と思われますので先行執筆です)


 ホテルの一室……拓巳と水樹は、着衣したまま男同士でベットの上で抱き合って唇を重ねていた。
「んんっ……拓巳」
 目を閉じた18の水樹は、拓巳からされるがままに、衣服の上から優しく愛撫されていた。
 二人は互いを強く愛し合っていた。唇を離して拓巳が言った。
ずっと一緒だ……水樹とオレは」
 水樹は拓巳の腕の中で、うなづく。
 男同士・女同士の同性婚は、すでに数年前から法律で認められていて。
 同性の結婚式は今や、ごく普通の光景となっていた──水樹と拓巳も、数ヵ月後には挙式を挙げる予定だった。
 結婚式では男役がすでに決まっている拓巳が、女役の水樹の目を、見つめながら言った。
「披露宴には、水樹はタキシードかい? それともドレス?」
「まだ、決めかねているんだ……どっちも着たいから」
「それなら、最初タキシードで、後半はウェディングドレスでいいじゃないか……衣装のレンタル代は二着分になるけれど、一生に一度の水樹の晴れ舞台だから……ドレス姿の水樹を、お姫様だっこするのも悪くない」
「拓巳……」 水樹と拓巳は再び唇を重ねた。

 数日後……拓巳は、町で偶然に水樹の姿を見つけた。こちらには気づいていない様子で、歩道に面したオープンカフェテラスで、椅子に座ってくつろいでいる様子だった。
 声をかけようとした拓巳は、水樹の向かい側の椅子にトイレから帰ってきて座った男の姿を見た。
(誰だ?)
 水樹よりも年上のその男は、親しげに水樹と会話をしていた。
(まさか、オレ以外の男と……?)
 拓巳はショックで頭の中が真っ白になる。見ていると水樹に近づいた男は水樹の顔に重なるように、後頭部を拓巳に向けた。
(まさか、オレ以外の男とキス? そんな、そんな)
 真相を確かめる勇気もなく、気がつくと拓巳はその場から逃げるように駆け出していた。

 いつの間にか拓巳は、政府公認の売春ホテル街に足を踏み入れていた。
 国の少子化が止まらないコトに、頭を悩ませた政府が苦肉の政策として、強引に国会を通過させ制定させた『遊郭復活法』……江戸時代の色町〔吉原とか〕のように、男が女を買ってセックスをする場所を、政府は歓楽施設地区として承認した。
 男女同士の公認セックス場だけだと、世論が煩かったので政府は女同士が性的行為を楽しむ『女娼街』や、男同士の『男娼街』も作った。

 水樹の浮気現場を目撃してしまい、自暴自棄になった拓巳は。
「こうなったら、オレも女とセックスをしてやる!!
 と、ばかりに遊郭ホテルに飛び込み、部屋写真と一緒に示されていた、遊女を選ぶと──料金先払いで部屋へと入った。
 部屋の中には、拓巳が選んだ女が下着姿の半裸でベットに寝そべっていた。
 女が言った。
「あたしを選んでくれてありがとう……まずは、お風呂に入ってからベットで楽しもう」
 拓巳と女は一緒に入浴してから、ベットの近くで裸で向き合う。
 女はいきなり拓巳の前で膝立ちをすると、拓巳のペニスをしゃぶりはじめた。
「んぐっ……んぐっ」
 水樹からしてもらうのと違う、女の舌の感触
(やっぱりダメだ! 女の舌は、男の舌触りとちがって気持ち悪い)
 拓巳が、まったくノッてこないコトに気づいた女はフェラチオをやめて、拓巳から離れる。
お客さん、男同士の人だね……なんとなくわかる、どうしてここに来たの?」
 拓巳は、事情を説明する。女は何も言わずに拓巳の話しを最後まで、うなづき聞いてくれた。
 話しを聞き終わった女が拓巳に言った。
「男の彼氏に確かめてみた? 本当に浮気しているのかを……勘違いかも知れないよ」
 女は自分の下腹部を撫で回す。
「政府の方針で、娼街で妊娠した娼婦は、母子ともに育児と生活の資金は一生保証されるけれど……娼婦を孕ませた男たちからは政府が『受胎税』を生涯徴収する法案が、近々可決するんだって……あたし、男の彼氏がいて、同性婚の挙式日が近い人の子供は孕みたくないなぁ。後味悪いもん……取り返しがつかなくなる前に、知らない男と一緒に居た彼氏と話し合ってみたら?」
 女は最後に一言、言った。
男同士でも、互いの強い想いがあれば奇跡が起こって……どちらかのお腹に、赤ちゃん宿るよ……もしかしたら」
 娼婦に説得されて、女性とのセックスを思いとどまった拓巳は家に帰った。


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