人体縮小実験『実験体名・美冬』

 とある、若いマッドサイエンティストの個人実験施設……そこで、狂気の人体実験が行われていた。
 白衣姿で遮光サングラスをかけた、マッドサイエンティストが狂気の笑みを浮かべながら、機器操作する。
「ふふふ……ここまでの工程は順調だ」
 人間が一人入る、円筒形の強化透明プラスチック容器の中に、両目を閉じて立つ全裸の女性が入れられていた。
 フィギュア人形を立たせ飾るように、背中の通常プラスチック棒には胴体を支える、切れ目がある輪が付けられ。
 背後側から首、胴、両足が人体固定されている。
 容器内にミストが満たされ、放電が開始された。
 細胞を破壊することなく人体に圧力をかけて縮小する、特殊な前処置だった。
「いよいよ、人体圧縮だ……ここからの段階が一番難しい……動物実験では、圧力のかけ方を何度も失敗して細胞を潰してしまったからな……ふふふ」
 女性の体に均等に深海並みの圧力がかけられ、裸体を支えるプラスチック棒と一緒に縮小していく。
身長170センチ……160センチ……150センチ……140センチ……バランスはそのままに、体全体が縮んでいく。
「ふふふ……いいぞ、もっと縮むんだ」
100センチ……90センチ……80センチ……60センチくらいのサイズで、マッドサイエンティストは縮小を中止した。
「次は減圧だ……この作業も慎重にやらないと、肉体が破裂したり血液が吹き出したりするからな」
 少しづつカプセル内の気圧を外の気圧に近づけ、まったく同じ気圧にする。
 気圧が外気圧になっても女性は縮んだままだ。
「成功だ!! 生きている!!」
 マッドサイエンティストはカプセルを開けて、縮小した女性を眺める。

 女性の名前は美冬……車に連れ込み、薬物で眠らせた状態で拉致してきて、実験室で裸にした時に所持品から名前が判明した。
 車を運転して町を走っている時に、偶然目に止まった器量良しの若妻だった。
(あの女体を実験体にして、人体縮小実験をしたい!)
 それは狂気な妄想にとり憑かれた、科学者の身勝手な欲望だった……衝動を押さえきれなかった、マッドサイエンティストは今まで動物相手に行っていた実験の妄想を人間に対して実行した。

 マッドサイエンティストは、カプセルの中から縮小した美冬を両手で取り出す。
「柔らかい……生きている人形のようだ」

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