天と海を支える女巨人@〔銀牙の特化能力〕
隊長タコの頭に油性ペンで落書きしたり、マン毛入りのミサンガを作る軍医タコの行動に尻目は首をかしげる。
「落書きとミサンガは……なんのためですか?」
「アナザー・エデンに出発する前の下準備です……『どこでもホール』を使って、響子さんの手首だけ。アナザー・エデンに繋げて『生命の粘土』を触ってもらって理想男性のイメージと想いを粘土に注いでもらう方法も考えたのですが、ホールが絞まる事故でも発生したら響子さんの手首が大変なコトになるので安全第一で」
「はぁ……そうですか、妖女のあたしが協力できるコトってありますか?」
「あります、今回のミッション達成には、どうしても尻目さんの協力が必要不可欠なのです……未知の大地で危険があるかも知れませんが、一緒に『アナザー・エデン』に同行してもらえませんか?」
「微力な、あたしで良ければ」
「微力だなんて、とんでもない尻目さんには、いつも船内を清掃してもらって感謝しています……ありがとう」
尻目は軍医タコに感謝されて、少し紅潮する。
軍医タコが尻目に訊ねる。
「以前ちらっと、話していましたね……お友だちの妖女で、修行するためにアナザー・エデンに向かった妖女がいたと」
「天狗裸女のコトですか?」
「その彼女に連絡はつきますか」
「大丈夫だと思います」
「では、お願いします天狗裸女の『天狗の神隠し』の着衣人類を連れ去ってくる能力が、今回はどうしても必要なので……これで、とりあえずのメンバーは揃いそうです。
あとは【裸族人類】を一体、メンバーに加えたいですね。蘭花と銀牙以外で……イカ側裸族人類の紫音とミリータは、大江戸砂漠が※幕末期を迎えているので忙しそうですし……ヒトデ側裸族人類の我美さんは、最初から協力してくれそうにないですし」
思案を続けている軍医タコに、隊長タコを強打して壊れたモップを直しながら尻目が訊ねる。
「ところで前々から気になっていたんですが……タコ側裸族人類の蘭花さんと、銀牙さんにも裸族人類の特化能力みたいなモノはあるんですか? イカ側裸族人類は時代劇の特化能力みたいですし、ヒトデ側裸族人類とかキラーエースさんにも特化能力ありますよね」
「んっ? タコ側裸族人類の特化能力一応ありますよ、三柱宇宙人〔牛・豚・鶏〕の裸族人類に特化能力があるのかは不明ですが……そうですねぇ、あまり使う場面が無い蘭花と銀牙の特化能力ですが……一度、尻目さんにも見せておきますか」
軍医タコが笛を吹くと、すぐに全裸の蘭花と銀牙が部屋にやって来た。
二人の体には氷塊が付着していて、動くと剥がれ落ちた。
「お呼びですか、タコ神二号さま」
「冷凍保存中に呼び出して悪いのですけれど……尻目さんに二人の特化能力を見せてあげてください、まずは蘭花が、銀牙を相手に特化能力を」
「はい、タコ神二号さま」
タコ型宇宙人を神と崇め従順なタコ側裸族人類は、軍医タコのいかなる命令も逆らえない。
蘭花が壁を背に立つと、銀牙が蘭花と向き合う形で立つ……見つめ合う全裸の男女。
銀牙の平らな胸板や、適度に発達した男性の腹筋が蘭花の目の前にある。
銀牙の方も完璧なプロポーションをした、蘭花の裸体が目の前にある。
見つめていた銀牙が、いきなり片手を壁について蘭花に言った。
「ずっと、蘭花と、一緒にいたい」
壁ドンから肘ドンへ移行して、蘭花と銀牙の顔はさらに急接近する。銀牙が蘭花の耳元に唇を近づけて囁く。
「蘭花が好きだ……愛している」
銀牙の言葉に、蘭花の股間はジワッと濡れる。
壁から肘を離した銀牙は、軽く蘭花の頭をポンポンと撫で叩いたあと、蘭花の顎をクイッと指で持ち上げて言った。
「オレだけを見ていろ……オレも蘭花だけを見る」
そして、銀牙は蘭花の唇を奪う。
「んんんッ……銀牙……んんんッ」
※大江戸砂漠にある『大江戸シティ』は、江戸時代のイベントを江戸初期から幕末まで、四季が巡るように十二ヶ月周期で繰り返しています。幕末期が終わると江戸初期に戻ります──幕末期は血の雨が降ります。
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