愛抑止C 断崖にて

 騎竜が言った。
「そろそろ教頭先生も【対価】を体験してみてはどうですか……『幽路』という名前の女子生徒の予約が明日の朝まで、体が空いていますよ……教頭にも疑似恋人の暗示をかければ、熱くて甘いイチャイチャする恋人や夫婦のような愛のセックスが味わえますよ」
 教頭は少し考える。
(女子高校生との【対価】は興味はあるが……催眠は本人が気づかないうちに支配されている危険もあるしな。催眠以外の方法で愛がないセックスをしても呪いにかからない方法があれば)
 教頭が騎竜に言った。
「催眠以外の方法があればやってもいい」
「催眠以外の方法で? 呪いを発動させない方法……ふむっ」
 騎竜はいつも持ち歩いている、分厚い本を開いた。
「一つだけ、それらしき方法はある……これを試してみるか」

 その夜、廃校舎の教室でブルーシートの上で全裸になった教頭の裸体に、双子姉妹の女子生徒が穂先に墨を浸した毛筆で梵字の経文を書く作業を続けていた。
 時々、穂先を唾液で湿らせて書いている姉妹に騎竜が指示する。
「隅々までしっかり書くんだ……キン●マの裏側も忘れずに」
 体が経文だらけになった教頭は、廃校舎の屋上で敷かれたマットの上で催眠状態の幽路を抱く……クヂュヂュプッ……幽路の催眠マ●コが、教頭のチ●コで拡がる。

 月明かりの中……制服姿の幽路は、教頭に抽送されて喘いだ。
「あッあッあッ……教頭先生、大好きです。愛しています……あぁんッ、あふぁん」
 恍惚とした表情の幽路は、抜き挿しをされながら教頭に脱がされ淫らな下着姿にされた。
 眼帯を横に繋げたようなブラジャー、眼帯のようなヒモパンツ。ヒモパンを横にズラされて、愛する教頭先生から挿入されている幽路は至福を感じていた。
 一方の教頭は幽路に、微塵の愛情も感じていなかった。
「あぁぁぁ……教頭先生の赤ちゃん欲しい……中に、中に出してください……あぁぁぁッ」
 腰を浮かせ、のけ反った幽路の膣内に教頭は容赦なく、欲望に満ちた白濁の体液をぶちまけた。

 ぐったりとして仰向けに横たわった幽路をそのままに、体に書かれた梵字を濡れタオルで拭き取った教頭は着衣するとスタスタと屋上の入り口へと向かう。
 三階へ通じる階段を降りようとしていた教頭の腕に、体力が回復した幽路がしがみついてきた。
「はぁはぁはぁ……教頭先生、たまらなく好きなんです。体が熱くて火照りっぱなしです……好きです、もっと抱いてください……交尾してください」
 教頭は幽路の表情に鬼気迫るモノを感じた。
(暗示が効きすぎてセックスが終わっても恋愛感情が残っているのか……それとも、梵字の影響か何かで?)
 下着姿の幽路は教頭の腕を強くつかむ。
「はぁはぁ……エッチしょう、もっと愛し合おうよぅ……大好きな教頭先生になら、すべてを捧げてもいい」
 教頭は腕にしがみついてきた幽路を、強く振り払った。
「は、離れろ!!」「きゃッ!?」
 幽路の体がバランス失い、階段を落下していく。
 後頭部が床に打ちつけられた嫌な音が聞こえ、階段の下に仰向けで倒れた幽路の肢体が痙攣しているのが見えた。
 怖くなった教頭は転落した幽路を放置して逃げた。
 回想の終わった教頭は、ソファーから立ち上がる。
(タコを口封じするしかない……このまま放置したら、わたしの教頭としての地位が危ぶまれる)
 ゴルフの金属クラブを手にした教頭は断崖へと向かった。

 断崖では軍医タコが一人〔一匹?〕背を向けて月明かりの中、夜の海を眺めていた。
 振り向いた軍医タコは、ゴルフクラブを後ろ手に隠し持った教頭に言った。
「お待ちしていました教頭先生……一年前に廃校舎で女子生徒が亡くなった夜も、こんな月の晩だったそうですね……屋上で野外エッチをするには最適の晩です」
「話しを聞こうか」
「ずばり、教頭先生……あなたは、女子生徒が転落死した現場にいましたね」
「根拠は?」
「教頭先生が、漏らした言葉です……あなたは女子生徒が『屋上に繋がる階段の最上段から足を滑らせて落ちて死んだ』と言いました。どの段から落ちたのか知っているのは、その場にいた人間だけです……あなたが幽路を最後に抱いた男です
 ゆっくりと軍医タコに近づく教頭。
「あれは事故だ……殺すつもりはなかった」



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あきゅろす。
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