女金太郎A

 女金太郎は近くで数匹の野犬を相手に、ぶん殴って返り討ちにしている巨大な白熊に向かって言った。
「『白カブト』そんな野犬の相手をしていないで、おまえ行司やれ」
 女金太郎の相棒の白カブトが、軍配ウチワを持った土俵に上がる。
 ティティスは女金太郎と向かい合うと、腰を落として対峙する。
「グルルルルッ(はっけよい)ガウゥ(残った!)」
 女金太郎がティティスの廻しに手を掛けて、掴んだのと同時に、ティティスの体から出てきた触手が女金太郎の裸体を這う。
「あふッ!?」
 ヌメヌメとした触手は、女金太郎の廻しの隙間から性器にも侵入してきた。
 足腰から力が抜けた女金太郎は土俵に膝をつく。
「あふッ、何この相撲の組み手? こんなの初めてだ……あふッ、オレの負けだ……あぁぁぁッ」
 土俵に仰向けで倒れ込む、女金太郎になおもティティスの触手責めは続く。
 濃厚な触手プレイに白カブトは、ハァハァと興奮して。
 女金太郎が土俵に背をつけているのに。
「ガウッ、ガウッ(のこった、のこった)」
 と喜んでいて、なかなかティティスに勝利の軍配を上げようとはしない。
 ついに女金太郎の廻しが土俵の上で外され、外気に晒された秘部にも触手が容赦なく伸びる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ガウッ、ガウッ(のこった、のこった)」
 全身をヌメるローション体液で、蹂躙された女金太郎が背中を浮かせてブリジッジ姿勢で絶頂すると、やっと白熊は軍配をティティスに上げた。
 ティティスは、軍配ウチワの前にしゃがむと左、右、真ん中と手刀を切って「ごっつあんです」と礼を言った。
 絶頂快感から少し回復してきた女金太郎が、潤んだ目でティティスを見上げて言う。
「はふーっ、はふーっ……オレの完敗だ、まさか相撲にあんな決まり手があったとは……オレも、もっと稽古が必要だな。戦利品としてオレの【マサカリ】をくれてやる持っていけ」
 ティティスは困惑顔で白熊が差し出した、マサカリを手にして一行は先を急いだ。


 女桃太郎の故郷『桃源郷』に向かう道で、女桃太郎は今一度一緒に歩いている連中の姿を確認した。
 タコ型宇宙人。
 尻に目がある裸エプロンの妖怪女。
 ビキニ・アーマーの女子高校生。
 相撲の廻しを巻いて、マサカリを担いだ触手女。
 そして、裸体に陣羽織〔じんばおり〕を羽織った女桃太郎。
(なんだ、このパーティーは?)
 女桃太郎が頭を抱えて、よろけると軍医タコが心配して訊ねる。
「どうしました?」
「いや、桃太郎が鬼ヶ島に行く時のお供を考えたら、ちょっとギャップが」
「わたしたちが向かっているのは、鬼ヶ島じゃないですからね……おや? 尻目さん、その手にしているビンは何ですか?」
 尻目の手には、黄色いモノが入った広口のビンが握られていた。
「来る途中にあった松の木の根元に、輪になった上等なバターがあったので……近くに落ちていたビンの中に、少し入れて持ってきました……残ったバターは虫や鳥や動物が食べていました」
「そうですか……おや? よく見たらビンの中にバターに埋もれて、溺れた悪魔がいますね」
「あっ、本当だ気がつきませんでした」
 尻目はバターの中で黒い染みのようになっている悪魔を見て、クスッと笑った。軍医タコが言った。
「その悪魔入りのバターも食材調理に使えるかも知れませんね。先を急ぎましょう……『桃源郷』はもうすぐです」

 そして一行は、ついに桃太郎の桃の木がある『桃源郷』に到着した。
 小鳥の鳴き声が聞こえ、孔雀や極楽鳥などの色彩鮮やかな鳥が空を飛び、白鹿や白馬がくつろぐ平穏な楽園『桃源郷』……甘い桃の香りがあちらこちらから漂ってくる。
 女桃太郎が言った。
「ここが、桃太郎の生まれ故郷か……初めて来た」
「桃の木は、川の上流にあるはずです……行ってみましょう」
 一行が川に沿った道を歩いていくと、一面の桃園が広がり、その中でも特に立派な桃の大樹が、桃園の真ん中を流れる川の縁に生えているのが見えた。
「あの桃の大樹に実る桃から、桃太郎が生まれてきます……行ってみましょう」

 一行は桃の大樹に向かう……近づくほどに見上げるほど巨大な大樹に、人間一人が入れるくらいの巨大な桃がたわわに実っているのが見えた。
 大樹の地面側では、数名の裸の男たちが何やら作業をしているのが見えた。



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あきゅろす。
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