童話とお伽話の黒い罠@『裸白雪姫と七人の鉱夫』『わらしべ長者裸男』

 軍医タコが言った。
「分かれ道に道標もありますから迷うコトもないでしょう……わたしたちは先に進みますから、尻目さんは後から追ってきてください」
 触手ビキニアーマー姿の響子が言った。
「あたしも尻目さんと一緒に、ガラスの棺に入った『裸白雪姫』を見てきてもいいですか?」
「道から外れて、暗い森の中に入らないように注意して行ってらっしゃい……森の中には熊の生皮を被った、性欲が強い木こり男とかもいますから」
「は〜い、気をつけてガラスの棺に眠る裸の女を見てきます」
 尻目と響子は軍医タコたちとは一時離れて『裸ヘンゼルと裸グレーテル』の兄妹が、目印を残した道へと進んだ。
 数分間歩いた場所に小屋があり、小屋の前にガラスの棺の中に裸で横たわっている『裸白雪姫』と、棺の近くで泣いている七人の裸の男たちがいた。
 ガラス棺の近くには木製の案内板が設置され【ガラスの棺に眠る裸白雪姫、撮影可能】の文字と撮影料金が、体のパーツごとに分けられて書かれていた。〔一番高額な撮影パーツは全身で、二番目に高いのは性器の接写撮影だった〕
 尻目と響子が泣いている男たちの後ろから、棺の中を覗き込む。
「なんか、ガラスの棺の中で眠る裸の女って、エロくていやらしいですね
「見て、乳首勃っている……アソコも濡れているのかな? う〜ん、足を閉じているから、はっきり見えないなぁ」
 響子の声が聞こえた白雪姫は、ゆっくりと足を開いた。響子が白雪姫の股を覗く……少し濡れていた。
 尻目が泣いている裸鉱夫の一人に訊ねる。
「七人の小人じゃないんですね?」
「三日前まで小人だったでしゅ……魔女母が差し入れしてくれた、アップルパイを食べたら、成長してしまったでしゅ」
 答えた裸の鉱夫は尻目の並んだ目を見て叫ぶ。



「コイツ、魔女母が言っていた連中の仲間でしゅ!! 捕まえて、あの家の壁に押し込むでしゅ!!」
 七人の鉱夫は、尻目の体を持ち上げると。
「壁にするでしゅ」
『犯しな家』の壁にするでしゅ」
 と、言いながら尻目をどこかに運んで行った。
 唖然としている響子に、棺の中から小声で白雪姫の呟く声が聞こえてきた。

「鉱夫小屋の中に、魔女母の指示で、あなたたちを狙っている昔話人物が一人隠れている……気をつけて」
 ドアが開き、裸の男が現れた。手にはワラが一本握られている。
童男『わらしべ長者裸男』が響子に言った。
「オラのワラと、あんたの肉体を交換すっぺ」
「えっ!?」
「一言、体を交換する……と言うだけでいいっぺ」

 響子は危険を感じて後退する。
「いやです……この体を、操られるんじゃなくて別人に使われるなんて……ひッ!?」
 響子は足元を、ザワザワする感触に足元を見るといつの間にか、小さな沢ガニたちが地面一面に群がり蠢いていた。
 カニから少し離れた場所に、カニの着ぐるみを着た童女が 横歩きで往復していた。
 カニの着ぐるみの腹部はパカッと開いていて、白い裸体と股間からザワザワとこぼれ落ちてくる、子ガニが見えた。
『猿カニ合戦の母カニ裸女』だった。
 母カニ裸女が、子ガニたちに言った。
「さあ、我が子よ……その女の体をよじ登りなさい」
 カニが響子の足を登りはじめると、響子は悲鳴を発する。
「ひッ!?」
 以前、磯でカニの群れに裸体を弄ばれるプレイをしたコトはあったが。
 足を登ってくるカニの群れには、嫌悪感しかなかった。
 わらしべ長者裸男が再度、響子に訊ねる。
「どうだ、オラと体を交換すっぺ」
 顔面蒼白で太股まで登ってきたカニを、払い落とすコトも忘れて凝視する響子。
「一言、交換すると口に出せば助けてやるっぺ……交換すっぺ」
 ビキニ・アーマーの中にまで、侵入してきそうなカニの群れに、耐えきれなくなった響子が叫ぶ。
「ひぃぃぃ! 交換でもなんでもする!! だから助けて!」
 わらしべ長者裸男が、ニヤッとうなづく。
「望み通りに、交換すっぺ」

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