『タコ国〔仮〕』 @

 軍医タコ一行は、海中にある※ピンポンツリーのような、海底都市国家『タコ国〔仮〕』にやって来た。
 酸素に満ちた、透明な球体の中のタコ壺街では本物のタコがヌチュヌチュと這っていた。
 クラゲ型宇宙人が言った。
「進化したタコは海の中に国を造るにょ、クラゲは空に国を造るにょ」
 バカには見えない下着を着けているつもりの響子が言った。 
「タコの国の家はタコ壺なんですね」
 タコ壺がフジツボみたいに重なった建造物の中から、タコが次々と這い出してきていた。
 人ひとりが入れるくらいの大きさがある斜めに置かれた道路脇のタコ壺には、裸の女たちが上半身を壺の中に突っ込んでいて、壺の外に出ている女性の下半身にタコがヌチュヌチュと群がっているのが見えた。
 響子が軍医タコに、タコ壺の外に下半身を出してタコに弄ばれている女性たちについて質問する。
「彼女たちは、いったい何ですか?」
「あれは、地上から拐われてきてタコの慰みものになっている女たちです……タコ国〔仮〕のタコたちは、気に入った人間の女性を見つけると集団で襲って連れてくるのです」
「なんか羨ましいですね……気持ち良さそう」
 タコに弄ばれている女性たちは、ビクンッビクンッと性的痙攣を繰り返している。
 響子の足元から子ダコが登ってきた。
太股に吸盤を貼りつかせながら、少しづつ女体にある秘密のタコ壺に近づいてくる子ダコに響子は身悶えして喘ぐ。
「あふぁんんんッ」
 響子が喘いでいると、軍医タコに近づいてきた赤い茹でタコが懐かしそうな口調で言った。
「どこかで見たことがあるタコだと思ったら、やっぱり宇宙人軍医のタコであるか……建国の時には、いろいろとお世話になったである」
「これは、タコ国〔仮〕のタコ大臣、建国記念の式典以来ですね」
 クラゲが横から軍医タコをツンツンと質問する。
「説明して欲しいにょ」
「タコの知能が海洋汚染の影響で急激に上昇して、タコたちがタコ国〔仮〕を造る時に、タコ大臣から相談を受けてアドバイスしたのです……タコですから人間のような文明はムリなので、シンプルにタコ壺集合住居にすればいいと」
 タコ大臣が言った。
「軍医さんのアドバイスのおかげで、無事建国できたのである……軍医さん、一緒にタコ国〔仮〕に来た。お友だちを紹介して欲しいである……そこにいる裸の着衣人類はタコへのプレゼントであるか?」
 響子は、性器の穴に入ろうとしている子ダコに悶える。
「あふっ……だ、ダメぇ……そこはタコが入る穴じゃない……あぁふ」
「響子は、貢ぎ物やプレゼントではありません……今回の問題解決旅行に必要な大切な人材です。響子の隣に裸で立っているのがクラゲ側裸族人類の秋。フワフワ浮かんでいるのがクラゲ型宇宙人さんたちです」
 秋が抑揚の無い口調で言った。
「クラゲは神……食べてはならぬ。タコとイカは……」
 クラゲ型宇宙人たちは、慌てて秋の口をクラゲ触手で押さえた。
「よ、よろしくだにょ……クラゲとタコは友だちだにょ」

 軍医タコがタコ大臣に訊ねる。
「『タコ国〔仮〕』では現在、どんな生殖実験をしているんですか?」
「地上から拐ってきた人間のメスと交配して。頭部がタコで体が女体のタコ型人間を誕生させるプロジェクトが進行中である……なかなか、人間のメスはタコの精子で受精しないである」
「それって、新人類の『タコスケ』さんを作るようなモノです……タコと人間のハーフなんてムリです。仮に女体に頭がタコの生物が誕生しても一代限りで繁殖力はないです」



「そうであるか、タコ側裸族人類のオス〔銀牙〕が動物のメスに精子を注ぎ込めば、人魚やケンタウルスが誕生すると聞いたであるが……それをタコのメスにも」
「やめた方がいいですよ、タコの軟体では射精の衝撃に耐えられず破裂してしまいます……わたしはタコの女性が破裂する、悲惨な現場は見たくありませんから……仮に受精が成功したとしても、生まれてくるのは下半身がタコのスキュラ′^ですよ
「では、タコ側裸族人類のメスを母体で貸してもらって、タコが種付けするというのはどうである? すでにタコ側裸族人類を名乗る者が一人、タコ国〔仮〕に来て軍医さんが来るのを待っているである」
 軍医タコが言った。
「そうですか、到着していましたか……残念ですが、その裸族人類は実験に使うワケにはいきません……キング・オブ・タコのタコ大王さまに発生した問題解決のために呼び寄せました……ちなみに、タコと交尾したタコ側裸族人類のメス〔蘭花〕の産道からは本物のタコしか出てきません」
「軍医さんの耳にも、すでにタコ大王のタコ壺引きこもりは届いていたであるか」
「タコ国〔仮〕の象徴、タコ大王さまの異変を放ってはおけませんから……タコ大王さまが、お隠れになったタコツボに案内してください」

 軍医タコ一行は、タコ大王が閉じこもった大タコ壺へと向かった。
 見上げるほど巨大な、岩のような大タコ壺の入り口には岩のフタがされていた。
 案内してきたタコ大臣が言った。
「ずっと、この調子である……その昔、帆船を海に引きずり込む海の魔物として恐れられた。タコ大王さまには、元気になって軍艦や潜水艦を襲ってもらいたいである」
「引きこもりの、原因はいったい何ですか?」
拐ってきた一人の人間の女が、タコ大王さまの生殖触手の膣穴進入を頑なに拒んでいるせいである……大王さまが、種付けを強く希望する女である」
 その時、大タコ壺の上から白い翼を生やした一人の裸族人類が飛び降りてきて。
 軍医タコの前に片膝をついて頭を下げる。
 裸体に矢筒を背負い、手に弓を持ったタコ側裸族人類のメスだった。
『憧夢』〔どうむ〕よく来てくれました」
 蘭花の叔母で、裸族人類であり愛の神女『女エロス』でもある、憧夢が顔を上げて言った。
「タコは神、食べてはならぬ……この身は、すべてタコ神さまのものです」
「すっかり、裸族人類としての従順と服従意識が身についたようですね……では、タコ大王さまをタコ壺から出ていただく古式の儀式を行いましょう」
「古式の儀式であるか? それはどのような?」
「天岩戸に隠れたアマテラスの女神を、外に連れ出したあの儀式の再現です」
 そう言って軍医タコは、大タコ壺の前に大きな輪切り年輪のようなステージを用意した。


※ピンポンツリー説明するのが面倒なので、各自で検索してください


[前戯へ][後戯へ]

13/16ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!