毒の魔女母・鬼の桃ババァ@毒女桃太郎〔妹系〕

 部屋の障子が勢いよく開き、毒が全身に浸透して肌が紫色になった、童女の妹系女桃太郎が現れると……魔女母に向かって悪態を一言。
「毒ババァ!!」と、吐きかけて障子を勢いよく閉めた。
 それを見て魔女母は嬉しそうに笑った。
「ひひひ……言葉使いも、目付きも悪い毒娘に順調に成長しておるようじゃわい……ひひひっ」
「まったく、余計なコトをしてくれたわい。川を流れていった桃は海へと流れ出て、中に入っている桃太郎ごと海水で腐って沈むというのに……儂は最近は川に洗濯も行っておらんし、川から流れてくる桃も拾ってはおらん。女桃太郎を最後にするつもりだったのに」
「ひひひ……代わりに儂が川で拾ってきた桃を弱い毒に漬け続け、毒を浸透させた桃から生まれたのが毒娘の女桃太郎じゃ、マ●コに男がチ●コを入れれば毒に侵されチ●コが腐れ落ちる……そうじゃ、桃と言えば少し前に裸王子の広場に妙な連中が現れて、女桃太郎の居所を訊ねていたらしいぞ」 魔女母は、黒い板のような器機を取り出して。桃ババァに表面を見せた。
 そこには、軍医タコたちが裸の王子の広間で、女桃太郎の居場所を聞いている動画が音声入りで流れていた。
 桃ババァが見たこともない、不思議な板について魔女母に質問する。
「なんじゃそれは? 魔法か?」
「ひひひっ……遅れておるのぅ。これはスマートフォンというモノで、映っているのは投稿動画じゃ……魔法ではないわ、科学じゃ」
「魔女が文明の利器を持つとは、時代も変わったのぅ」
 魔女母が桃ババァの顔を見つめて言った。
「お主、女桃太郎をこのまま、放っておいても良いのか」
「なにがじゃ?」
「鈍いのぅ……前に『いつの日か女桃太郎が、自分を討伐に来るかも知れん』とぼやいておったじゃろうが……どうやら、連中は桃太郎の桃の木に向かうつもりらしいぞ……そこで、女桃太郎をリーダーとした『桃太郎軍団』でも結成されたら、どうする

 桃ババァの顔色が変わる。
「そりゃ困る!!」
「そうじゃろう、正義感が強い女桃太郎のコトじゃ……儂ら悪党老人連合にも討伐の目が向けられるかも知れん」
「どうしたらいい?」
「心配するな、すでに手は打ってある……まず、儂の配下の『嘘つきオオカミ少年』を使って、桃の木を守っている『龍の子タロウ子』に、桃の木を伐りに来る者がいると嘘を信じ込ませて襲わせる……他にもいろいろと、桃の木に近づけない罠を仕掛けてあるわい」

「さすがじゃのぅ……お主に任せて、儂は余計なコトをしない方が良さそうじゃ……儂でできるコトがあれば協力するぞ」
「そうか、協力してくれるのか……ひひひっ、それじゃあ早速やってもらうとするかのぅ」
 魔女母はカゴの中から、不気味な青い桃を取り出した。
「これを喰え……食べる前に素肌に着物を羽織っただけの、姿になってのぅ」
 桃ババァは渡された青い桃を、凝視しながら言った。
「協力するとは言ったが……毒味をするとは言っておらん」
「心配するな、死にはせん……儂を信じて騙されたと思って食べてみろ」
 言われた通り、全裸になって婆裸体に着物を羽織っただけの姿になった、桃ババァは一口……怪しい色の桃をかじった。
「うむっ、見た目は青くて不気味じゃが……味は普通の桃……うぐッ!?!?」
 突如、桃を手から落とし苦しみ出す桃ババァ……魔女母が床で悶絶している老婆を指差して、大笑いする。
「ひひひひひっ、ほら騙された……ひひひひっ、全身から体内毒素の汗が吹き出しておるわい」

 苦しむ桃ババァの肉体に変化が訪れる。ベキッベキッと年齢で縮んだ関節が伸びて、皮膚に張りがもどる。白髪だった髪が背中まで伸びた黒髪へと変わり。 呻き声も老婆から若い娘の声へと変わっていく。
 垂れて萎んでいたいた乳房が、ピンピンと張りと肌の艶がある娘の乳へと変わった。
 四つ這いで裸体に着物を羽織っただけの桃ババァは、若返った自分の手を眺めた。
「これは、どうしたことじゃ? 二十代の姿にもどってしまったぞ?」
「ひひひっ……成功じゃ“若返り毒”の効果で、桃ババァが桃娘になったわい……その姿なら、腰痛の儂に代わって、十分に機動協力できるじゃろう」


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あきゅろす。
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