『栽培谷』 A

 柵の外から男性が栽培人間で性欲処理をするのを見ていた軍医タコは、頃合いを見て話しかけた。
「こんにちは、精が出ましたね」
「わっ、タコ!? ぶっ叩いて、とっ捕まえて煮付けにして食うべ」
「わたしは食べ物ではありません、この『栽培谷』で起こっている問題を解決するために来ました」
「もしかして、試験場の所長が話していたタコ型宇宙人だべか。それは失礼したべ……お詫びに家の中で茶でも飲むべ」
 軍医タコ一行は男性職員の家に招待された、招待された新居の畳みの居間には、筋肉が適度に引き締まった全裸の男性が仰向けで横たわっていた。ペニスが天井を向く栽培男性の両足は大根のようになっている。
 裸人間の近くには、庭に生えている栽培人間の女性と瓜二つの容姿をした裸エプロン姿の女性が座り、仰向けになった栽培人間の胸板をハァハァと荒い息づかいで撫で回していた。

 栽培人間の裸体に興奮している新妻の女性が、軍医タコを見て言った。
「あんれまぁ、うまそうなタコが家の中に入ってきたべ」
「何回も言いますが、わたしは食べ物ではありません……この家の奥方ですか、何をしているんですか?」
「見ての通りだべ、近所から栽培人間の男をおすそ分けしてもらったから。お昼休みのオナニーに使うところだべ」
 新妻は栽培人間のキン●マをコリコリといじくる。
「なかなか、中身が張った良質のキン●マだべ……玉や胸元の鎖骨辺りにタトゥーみたいな模様があるのが、この品種の特徴だべ……さっそく、オナニーすっべ」
 裸エプロンの新妻は、裸の人間の上にまたがると、そそり起つチ●コを膣穴にあてがい、騎乗位で腰を沈めた。
 ズニュゥゥ……穴に押し込まれていくチ●コ
「あッ……入っちまったべ……あッ、あおぅ、おッ」
 裸人間にしがみついて、突起物でオナニーをする新妻。
「気持ちいいべ……栽培人間でオナニー気持ちいいべ……あぅあぅ」
 蕩けるような顔で腰を振って、オナニーしている新妻に軍医タコが訊ねる。
「もしかして、庭に生えている。あなた方そっくりな栽培人間は?」
「はぁぁ、そうだべ……新婚の記念にクローン技術で特注した種から育てた栽培人間だべ……はぁはぁ、太くて気持ちいいべぇ」
 新妻にオナニーの道具にされている、栽培人間の男は「うっ……うっ……」と短い呻き声を出しながら裸体をピクッピクッさせる。
 新妻は恍惚とした表情で腰を蠢かす……グヂョグヂョ。
「はぁはぁはぁはぁ……気持ちいいべ! 気持ちいいべ! チ●コ太いべ! チ●コすごいべぇ!」
 オナニーに没頭している新妻を放っておいて、軍医タコは旦那の方に訊ねた。
「試験場で起こっている問題について、詳しく教えてください」
「そうだべな、それは試験場に行って直接見てもらった方がいいべ……タコ足、一本くらいなら食べてもいいべか? 焼いて今晩のオカズに」
「何回も言いますが、わたしは食べ物ではありません」

 午後──軍医タコ一行は職員の男性に連れられて『栽培人間試験場』にやってきた。
 施設の中に入ると、ある部屋の前で白衣姿の女性が困り顔で立っていた。
 部屋の中からは、モノを壁に投げつける音や、女性の怒鳴る声が聞こえてくる。
 作業服に着替えた男性職員が、白衣姿の女性職員に訊ねる。
「どんな様子だべ?」
「相変わらずだべ、手がつけられねぇべ……このままだと、所長が言う通りに廃棄処分が決定だべ」
 白衣姿の女性職員は、軍医タコの存在に気づく。
「あれまぁ、タコ釣ってきたんだべ? ちょうどいい、刻んでタコ飯の具にするべ……たこ焼きに入れてもいいべな」

 軍医タコが少しイラついた口調で言った。
「くどい、わたしは食べ物ではない……その部屋ですか、来る途中に話していた。変わった栽培人間が試験栽培されている部屋というのは……さっさと見せてください」
 ドアの鍵が開けられ、部屋の中には植木鉢に両足を突っ込んだ、裸の女が腕組みをしてこちらを睨んでいた。
 植木鉢の栽培人間が言った。
「いつになったら、ココから出してくれるんですか! いったいココどこです? あたしなんで裸で、こんな場所にいるんですか? 実験に協力してくれって町中で言われて、血液提供しただけなのに……気がついたら植木鉢に植えられていて?? ワケがわからない」
 軍医タコが男性職員に耳打ちする。
「もしかして、自我と人格を持った『栽培人間』ですか?」
「その通りだべ、品種改良していて偶然、誕生したべ……こんなペラペラ喋って動く裸人間、売れないべ」
 クラゲが言った。
「そうとも限らないにょ、こういうタイプの需要もあるかも知れないにょ」
 軍医タコが言った。
「犯して確かめてみますか、利用価値があるかどうかを」
 鉢植えの栽培人間に近づいて、軍医タコが話しかける。
「こんにちは、あなたは自分の名前を覚えていますか?」
「あ、オレンジ色のタコ型宇宙人……当たり前でしょう覚えているわよ」
「そうですか……実はあなたは人間ではありません、自我を持ってしまった突然変異の栽培人間です
「いったい、何を言っているの?」
「これから、その証拠をお見せしましょう……さあ、みんなで植木鉢から引っこ抜きましょう」
 職員と軍医タコたちが、栽培人間の体を引っ張り植木鉢を押さえて引き抜く。
 ズボッと、大根のような足が植木鉢の中から出現する。
 自我と人格を持った栽培人間は、自分の足に青ざめる。
「なに、この足……」
「これでわかったでしょう……あなたは、栽培された人間です。では、少し品種改良をしましょう……秋さん、この栽培人間に凌辱レズビアンをしてください……女性の相手もできるオナホールに変えるのです」
「はい……クラゲは神、食べてはならぬ」
 秋は、床に転がる自我を持った栽培人間に近づくと、片足を持ち上げた∠ポーズに変えて、女性性器を密着させて腰を蠢かす。
 いきなりのレズ行為に怯える栽培人間。
「な、なに? いやっ、やめてぇ!」
 最初は嫌がっていた栽培人間の女も、裸族人類の超絶なテクニックに甘い吐息が漏れはじめた。
「あふっ……いぃ」
「とりあえず、女性専用の同性オナホールの品種方向で……オナホールに喘ぎ声や音声を求める購入者もいますから。
この自我が目覚めた個体をベースに、無口な栽培人間の男と交配……もとい、受粉させて世代交代させれば、もう少し言葉少な目で扱いやすい品種が誕生するのではないかと」

 まるで、果物や野菜を消費者のニーズに応えるように品種改良している生産者のような口調の軍医タコに、栽培人間の女性は震える声で言った。
「あふっ、いったい何を言っているの……あたしの体に何をするつもり……あふッッ」
 軍医タコは、栽培人間の質問を無視して話しを続ける。
「わたしが見たところ、二年草の植物特徴を入れられた栽培人間みたいですね……受粉させる精力旺盛な、栽培人間の無口な男個体を選別さえできれば」
 その時、部屋の入り口から拍手が聞こえてきた。
「さすがタコだべ、廃棄処分を考えていた個体を品種改良のベースにして。さらに、栽培人間の男とセックス……もとい、受粉させて種を採種するなんて。考えつかなかったべ……栽培人間試験場の所長として、勉強させてもらったべ。早速無口な栽培男を施設内の畑から選ぶべ」

 数十分後──自我と人格を持った栽培人間の女は、従順で無口な栽培人間の男から採種されるために正常位で犯されていた。
 栽培人間の女は天井を見つめたまま、涙を流しながら断続的な喘ぎ声を発する。
「あッ、あッ、あッ、あッ、あッ」
 栽培人間同士のセックスは、記録として白衣姿の女性職員に録画撮影されている。
 所長が軍医タコに言った。
「これで、試験場が抱えていた問題も解決しただべ……どうだべ、わたしの家で妻が大鍋にお湯を沸かして待っているので来るべ」
「丁重にお断りいたします……食べ物ではないので」
 軍医タコ一行は、そそくさと『栽培谷』から出て次の目的地に向かった。


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あきゅろす。
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