【童話の町】ですが何か?B

 響子と尻目は黄金のキン●マ〔ゴールデンボール〕を探していた時に、童話の町を訪れ。
 裸シンデレラや女桃太郎とは、一度会っていた。
 裸シンデレラが言った。
「最近は『童話の町』にも、少し悪い人が現れはじめていてね……森に住む、白雪姫の継母の『魔女母』には注意した方がいいわよ……手提げカゴ入った怪しすぎる毒リンゴを渡そうとするから」
 裸シンデレラから別れ、一行は女桃太郎に会う前に『裸の女王』のところに挨拶に寄った。

 女王は裸で椅子に座っていた。裸の女王が言った。
「響子、久しぶりですね……また一段と、いやらしい女になりましたね……ところで響子の目には、わたくしはどのように見えていますか?」
 ビキニ触手アーマーの響子は、裸女の女王に定番の返答をする。
裸です……女王さまは、どっからどう見ても、生まれたままのスッポンポンな裸です
 裸の女王は響子の返答に満足そうな笑みを浮かべる。
「あなたは本当に、素直で正直な方ですね……そうです、わたくしは裸です。愚かな者には見えないドレスなど着ていません……女桃太郎の部屋は、すぐそこです」
 軽く会釈して部屋を出ていこうとしていた尻目が、壁を見てあるコトに気がつく。
 部屋の壁には、長年、壁に飾っていた鏡を外した跡があった。
 尻目が女王に訊ねる。
「ここに鏡みたいなのを、飾っていた跡がありますが?」
「それは白雪姫の“魔法の鏡”を外した跡です……わたくしの質問に間違った受け答えをしたので、叩き割って森に捨てさせました。もしも森で割れた鏡を見ても近づかないように
 そう女王は不機嫌そうに答えた。


 軍医タコ一行は、女桃太郎の部屋へと入った。部屋では裸体に陣羽織を羽織った女桃太郎が椅子に座っていた。
 軍医タコから『童話の町』に来た理由を聞いた、女桃太郎は愛刀を手に椅子から立ち上がる。
「オレが入っていた桃が成っていた、川上の桃の木か……今はどうなっているか、わからないが生まれ故郷に帰ってみるのも悪くない……オレも同行しよう」
「女桃太郎が一緒に来てくれると、助かります」
 女桃太郎を加えた一行がタコの小型宇宙船に乗り込もう、中庭に来たその時……突如、上空から炎がタコ型宇宙船に浴びせられ、燃え上がったタコ型宇宙船は数分間で自然鎮火して、黒焦げのスス黒ダコになった。
 見上げると上空を細長い和風の龍に裸で股がって、空を飛んでいる裸女がいた。
 女桃太郎が空を見上げて言った。
「あれは、オレが入っていた桃の木を守っているはずの、童女龍の子タロウ子』どうしてこんなコトを」
 軍医タコが特に慌てる様子もなく言った。
「困りましたね、ここまで焼けたら飛行に支障が出て、危険かもしれません……宇宙船は自己修復しますから、別の交通手段で桃が生えている『桃源郷』に向かいましょう」と、言った。
 この時、タコ型小型宇宙船の中にはへたった隊長タコが残っていて、蒸し焼きになっていたコトを完全に忘れ去られていた。


 ニ時間ほど前……女桃太郎の生家にいる、川へ洗濯のおばあさんこと、『桃ババァ』は不機嫌そうな鬼ババァ顔で、囲炉裏〔いろり〕の前に座っていた。
 桃ババァの家の木戸を軽く叩いて、黒いフード付きマントを羽織り、腰の曲がった老婆がズカズカと入ってきた。
 老婆の手には、毒々しいほど赤いリンゴが入った手提げカゴがあった。
 老婆……『魔女母』が言った。
「桃ババァ、いるかえ?」
「家に入ってから聞くな、なんじゃ? 何か用か?」
「ひっひっ……新作の毒リンゴが完成したので、試食してもらおうと思ってのぅ」
「いらん! 持って帰れ!」
「冷たいのぅ、悪党老人同盟の仲間じゃろうが」
「そんな同盟に入った覚えはないわ……いったい何の用で来たんじゃ」
「ひひひっ……儂が作った『毒女桃太郎』は、どんな具合かと思ってのぅ」
「なんじゃ、あの娘を見に来たのか……おーい、毒桃出てこい。魔女母がお呼びだぞ」


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