神石レンタル C 〔乙姫誕生の秘密〕

 クワガタムシ型タイムマシンに乗った我美と乙姫は、時間を遡った『実験群島』に来ていた。
 海洋を泳ぐ巨大な海亀の背中に乗った群島の中にある『ケン・フラン教授 』所有の『実験本島』
──そのマッド・サイエンティスト屋敷の地下にある研究室に、ダブダブの白衣で子供姿のフランは螺旋階段を使って降りて来た。

 怪しげな実験機器が唸る、典型的なマッドサイエンティストの研究室&実験室には、テーブルの上に試験管やらビーカーが置かれている……その中にある一本の試験管に入っていた薬品をフランが飲み干すと、子供から大人へと急成長した。
 子供服を破って、裸体白衣姿になったフランは大きく深呼吸をする。
「ふうっ、見た目は子供、頭脳はマッド・サイエンティスト……女体を使った実験の最終段階に突入するから子供姿だと、白衣を着た科学マニアの子供が裸のお姉さんにエッチなイタズラをしているようにしか見えないからな

 ストレッチャー式の手術台へと近づくケン・フラン。
 手術台の上には全裸の女性が仰向けで、目を閉じて横たわっていた。
 手術着に着替えたケン・フランは、手術台上の女性の胸を揉む……弾力のある柔らかい胸だった。
「豊胸手術の処術後の経過は順調……理想的な乳房になった……さて、今日もダウンロードの続きをはじめるか」

 そう言って女性……織姫の足首を持ったケン・フランは、織姫の両足をガバッと開くと、露出させた性器にホタテ貝が刺さった石板を密着させて、乙姫の記憶と意識の移植を織姫の肉体に再開した。
 他人の記憶と意識を移植されている、織姫の顔に拒絶をしているような嫌悪の表情が浮かんでいるのを──物陰に潜んだ二人の裸の女、我美と乙姫が見ていた。
 我美が小声で乙姫に囁く。
「乙姫さまが誕生する瞬間っスね、もうすぐしたら記憶移植されて目覚めた乙姫さまが、竜宮島を奪って逃げ出すっス」
 ストレッチャー式の手術台の上に横たわる、織姫の顔に淫らな笑みが浮かぶ。
 その笑い顔を見た我美と一緒にいる乙姫は顔をしかめる。 「なんて卑猥で淫らな笑みを浮かべるのよ……あの女、あっ! アレあたしか……あたし、変態科学者にあんな誘うような笑みを浮かべていたの?」
 ケン・フランが眠っている織姫の胸を揉み、唇を奪っているのを見た乙姫が怒り心頭で物陰から飛び出してケン・フランを殴ろうとするのを我美は必死になだめ止めた。
「ダメっスよ、ここで乙姫さまが出て行ったら。時間と空間の流れが変わってしまうっス……次の時間軸に移動するっス」
 我美は淫乱ライダーベルトの力で、クワガタムシ型タイムマシン内へ移動した。

 ケン・フランが乙姫のデータが入った石板を手にいれた、少しだけ後の時間軸──我美と乙姫は、とある港町の奴隷市場に来ていた。
 遊牧民のようなフード付きマントで裸体を包み、深く被ったフードで人相を隠した、我美と乙姫は壇上に並んだ裸の女や男たちを見ていた。
『大放出』とか『特価』とか『30%オフセール』とか書かれたノボリが立てられた、奴隷市で威勢のいい奴隷商人のセリ声が響く。
 ハリセンでバンバン机を叩く音が広場に響き渡る。
「さあ、次の商品は三年モノの、ワケあり人妻だ! 見てくれこのマ●コと尻! 小娘のモノとは一味ちがう、成熟した色気と旦那や浮気相手から使い込まれ鍛練された極上マ●コだぁ! さあっ。買った買った!」
 中腰でヒップを向けた人妻の尻をバンバン叩くたびに、買値が上昇していく。
 ワケありの人妻は高額で落札された。

 人妻の次は、恥ずかしそうに股間を両手で押さえ隠した裸の美少年が壇上に現れる。
「さて、お次の商品は陰毛薄め体毛薄めの着衣人類美少年だ! 美青年との二体セットで購入して絡ませるのも良し、腐女子のお嬢さん方が好みの男に調教しても良し、まだア●ル未経験の初物だから、この機会を逃す手はないよ……さあ、買った買った!」
 次々と落札されていく裸の男女、乙姫が小声で隣に立つ我美に訊ねる。
「こんな所に連れてきてどういうつもりよ」
「まぁ、見ているっス……もうすぐ現れるっスから」
 壇上を見ている我美に、ぶつかってきた人物がいた。我美と同じようにフードを深く被った人物だった。
 ぶつかってきた人物が人混みの中にまぎれ消えると、我美は下腹部を不思議そうな顔で擦った。

 商店街の福引きで特賞が当たったような、当たり鐘の音が響き、奴隷商人の声が一段と高まる。
「さあ、本日最後の目玉商品だ! なんと、天ノ川から降りてきて。自分から奴隷になるコトを望んだ裸女『織姫』だぁ」
 可憐で美貌な天の裸姫
の登場に、市場はどよめく。
「見てくれ、この美尻」
 ヒップを観客に向けさせた織姫の尻を、奴隷商人はピシャリと叩く。
「きゃっ!?」思わず声を漏らす織姫。
「さあさあ、セリ落とした者勝ちだぁ! 男の相手も、女の相手もどちらも仕込み次第だ!」
 つり上がっていく織姫の落札金額。
 乙姫は自分とそっくりな女が人身売買されている光景を茫然と眺める。
「あたし……が、売られる? なんとなく安い落札金額はムカつくわね」
 いつの間にか、乙姫も落札に加わっていた。
 気がつくと乙姫と、もう一人の落札合戦になっていた。
 我美が慌てて乙姫の暴挙を制する。
「ちょっと、なに考えているんスか、自分で自分の体を落札なんて」
「だって、安い女だと思われたくないじゃない……あっ、その女、三十万で」
 どんどん、落札希望金額が上昇していく。このままでは乙姫が織姫の肉体を落札間近だと思われたその時、挙手した一人の白衣男性が高額を提示した。
「五百万」
 どよめく奴隷市場。
 負けず嫌いな乙姫がケン・フランと張り合おうとするのを、我美は乙姫を殴って気絶させて止める。
「こっちは下りるっス、その白衣の人が落札でいいっス」
 当たり鐘が鳴り響き、織姫はマッド・サイエンティストのケン・フランに落札された。
 ケン・フランは、落札されて怯えている織姫に近づき、小振りな胸を眺めながら言った。
「少し小さすぎるな……盛って豊胸しよう
 ケン・フランの言葉に怯える織姫は。
「今週のドッキリヌレヌレメカ発進」と、呟いて。
 龍の子供の能力で、銀色に輝く円筒形の小型メカを一体産み落とした。

 
 クワガタ型タイムマシンにもどった我美と乙姫は、保留していた【タコ神石】 のスグリへの付着を開始した。
 我美がスグリのクリトリスに石を近づけると、粘液のようなモノが石に向かって伸びて【タコ神石】を引き寄せる。
 付着した瞬間、ビクンッビクンッと性的痙攣をする砂野スグリ。
「おふおぉぉぉっ、ぃぐっ! ぃぐっ!」
 スグリのクリトリスに濡れ光る、タコの神石を見ながら乙姫が言った。
「どうして『実験本島』や『奴隷市場』をワザワザ見せたの?」
「次に入手する【天帝石】の予備知識で、乙姫さまに自分の体のコトは知っておいてもいいと思ったっス」
「あたし自身の体のコト?」
 乙姫は感慨深そうに豊胸手術をされた、胸元を手で押さえる。
「そう言えば、考えたコトも無かったな……この体のコトなんて」
「そうこうしている間に、到着したみたいっスよ……天ノ川に」


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