乙姫の憂鬱 @

『裸族人類が存在する退屈でない世界』で大海を白波を立てて進む【竜宮島】……けだるい午後、竜宮城の野外テラスで、ビーチチェアに裸体で寝そべっている、裸女の乙姫と裸族人類の我美の姿があった。

 いつものように、クーラーボックスから冷えた缶コーヒーを取り出して乙姫が言った。
「裸族人類が存在する、この退屈でないロクでもない世界に乾杯」
 プルトップを開けて、缶コーヒーを飲みながら乙姫が我美に訊ねる。

「ところで我美が認める【最強の裸女】って誰?」
「なんスか? いきなり」
「ちょっと、知りたくなって」
「最強の裸女っスか、そうスね」
 少し考えてから我美が答える。
「最強だったら怪女グループの『魔我マッガー』は、外せないっスね」



「確かに魔我マッガーは強いわね……他には」
「童女グループの『裸千匹皮』も強いっスね」



 露骨に嫌そうな顔をする乙姫。
「あのどうでもいいコトはすぐに忘れる女ね……他には」
乙姫さまも最強の一人っス、龍の子供の力を持っているっスから……この三人が裸女最強っスかね」
「そうか、あたしが最強の一人か当然ね」
 自慢気な笑みを浮かべている乙姫の、クモの巣が張った男日照りマ●コから一匹の小さいクモが這い出てきた。

 乙姫が言った。
「じゃあ、『裸女と裸族人類を支配して、ついでに着衣人類を奴隷にする計画』のために『裸千匹皮』と『魔我マッガー』を手下にすれば……」
「ムリっすね、あの二人が乙姫さまの軍門に下るはずがないっス。魔我マッガーは元々、乙姫さまの計画には無関心で……裸千匹皮は一度、裸女大戦の時に仲間に加えて懲りたと乙姫さま、ぼやいていたっス」
「そうだった、アイツには酷い目にあったんだった」

 また、少し考える乙姫。
「じゃあ、あの二人を倒せば……あたしが裸女最強ナンバーワンに」
 水着痕の乳首をコリコリいじくりながら乙姫に問いかける我美。
「倒せるんスか……乙姫さま、一人で」
「あなたもいるでしょう、裸族人類がちょちょいと本気を出せば裸女の一匹や二匹」
「やらないっスよ……基本、裸族人類は裸女同士のいざこざには首を突っ込まない方針っス……やるなら、乙姫さま一人でどうぞ……まぁ、全面協力はできないっスけれど。軽いサポートくらいならやるっスよ」
「う〜っ、一対二はムリ……第一、男日照りの女がエロ戦を仕掛けられても勝ち目ない」
 乙姫のクモの巣マ●コから二匹目のクモが這い出してきた、水着痕がビキニから変化した我美が言った。
「だったら、クモの巣が張ったマ●コを突き破ってくれる男を見つけたらどうっスか……探すの協力するっスよ」
「あたしが男に抱かれる……いいや、男を抱く?」
 乙姫は遠い昔を、思い出しているような目をした。
「最後に男とエッチしたのはいつだったか……そもそも、あたし男と寝た経験あったっけ?? 忘れた」
「じゃあ、乙姫さまの股間に張ったクモの巣を破ってくれる男探しと平行して『魔我マッガー』と『裸千匹皮』を共倒れにする計画でも立ててみるっスか?」
「あんた、恐ろしいコトを思いつくわね……裸女同士を戦わせて、共倒れを狙うなんて……でも、その計画が一番成功しそう、細かい段取りサポートは任せるわ──それにしても、よくよく考えてみたら」
 太陽の陽射しを手の平で遮った乙姫は全裸でピーチチェアに仰向けで寝そべっている自分と。傍らのチェアに小麦色に日焼けをして白い水着の痕が裸体に残る、裸族人類の我美を眺めて呟いた。
「……真っ昼間から全裸の女が二人ビーチチェアに寝っ転がっているシュチエーョンも……シュールよね」
「そうっスね」

 竜宮島は夕方の境界線に近づいた。
 オレンジ色に染まる女体……我美は、マ●コを指でクパァと開いて膣穴に夕日を当てる。
 乙姫が我美に訊ねる。
「で、最初に何をどうすればいい?」
「とりあえずインターネット上にでも『裸千匹皮』と『魔我マッガー』が互いの悪口を言っているとでも……嘘の情報をバラ蒔いたら、どうっスか」
「悪口や陰口なら得意よ! 自分が言われるのは無性に腹が立つけれど」
「そうっスか」
 我美はそれ以上は何も言わなかった。

 数時間後──ネット上に『裸千匹皮』と『魔我マッガー』が互いの陰口を言い合っているとの怪文書が流された。
 その怪文書を見た、魔我マッガーは首をかしげる。
「えーと、これはどう解釈すればいいのかな?」
 怪文書には堂々と情報発信元の【乙姫】の署名が付いていた。

 裸千匹皮の方も、怪文書を近くにいた脱衣人類の『恥骨少女』に見せて意見を求める。
「これ、どう思う?」
 スカートの中から下着を膝辺りまで下げながら、恥骨少女が言った。
「どう見てもフェイク情報だね……相手にしない方がいいよ」
「やっぱり、そうだね無視するのが一番だね……ところで、乙姫って誰?」

 インターネット上で『裸千匹皮』と『魔我マッガー』の喧嘩が、なかなか発生しないコトに乙姫はイラついていた。
「なによぅ、あの二人全然。言い争いに発展し無いじゃない!! そればかりか、なんであたしへの非難の書き込みが殺到しているの!? 『乙姫最低』とか『卑怯女』とか」
「乙姫さま……なんで、名前を書き込んだんですか?」
「そりゃあ、いずれは裸女の上に君臨する女だから。こそこそするより、堂々と」
「乙姫さまって、妙な部分に変なプライド持っているっスね」
 星空の下、チェアから上体を起こした我美が呟いた。
「嘘を信じ込ませるために、神石の力を借りるとするっスか……手始めに『砂の野スグリ』を探さないといけないっスね」



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あきゅろす。
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