【黒き忍びの里】にて【タ●リ神の猪肉】ゲット!!!
最後に残った『金溜ギラ子』は、首を数回横に振るとタメ息混じりに電卓を取り出して、何やらブツブツ言いながら計算をはじめた。
「まったく、八忍剣士の連中は何も考えないで器物破壊するばかりなんだから……弁償金額を計算して予算から出す、こちらの身にもなってもらいたいものだわ。九十郎の奴、また高額そうな男娼像を壊してくれたわね……犬吉が壊した水車小屋に、猫美が切断した地蔵……あぁもう面倒くさい」
その時、壁山の方から倒れる木々と移動する土煙が上がり。下忍たちの「タ●リ神が現れたぞぅ!!」の声が聞こえた。
混浴に向かって猪突猛進してくる、禍々しい巨大猪。
樹上から忍び刀でタ●リ神を突き仕留めようと、背中目掛けて飛び降りた下忍たちは次々と、タ●リ神に弾き飛ばされる。
生け垣を突き破って突進してきた、タ●リ神の進行方向には計算を続けている、ギラ子の姿があった。
「危ない!」響子がそう叫び、予想する惨劇に目を閉じた時……ギラ子は突進してきた、タ●リ神の大猪に向かって。振り上げたハイヒール脚の踵〔かかと〕を、猪の鼻面目掛けて降り下ろして叫んだ。
「計算中だ!! 邪魔するな!!」
ギラ子の踵落としの一撃に、タ●リ神の目はグルグルの渦巻き模様になって……その場に倒れた。
勝者『金溜ギラ子』……タ●リ神、ノックアウトで捕獲。
数十分後……体皮に付着していた、禍々しい黒いモノを削ぎ落とされ。
スッキリとした様子で温泉に浸かる大猪の姿があった。
木の桶には黒く蠢く例のグニュグニュが山のように盛られていた。
大猪の体から除去作業をした、軍医タコが触手腕をタオルで拭きながら言った。
「大量に採取できました、これだけあれば食材量としては十分です」
凍騎が湯に気持ち良さそうに浸かっている、猪を指差して軍医タコに訊ねる。
荒ぶっていた元タ●リ神の猪は、ティティスから頭に手拭いを乗せてもらい。鼻先を撫でられて嬉しそうだ。
「あっちの猪肉の方は食材で使わないのか?」
「タ●リ神猪のエキスが凝縮して美味なのは、表面の黒いグニュグニュした部分なんです」
「本当にコレ、食べられるのか?」
凍騎は桶〔おけ〕の中で蠢いている、黒い物体を覗き込む。軍医タコが言った。
「前回は失敗しましたが……下処理さえ、しっかりすれば大丈夫なはずです……たぶん」
一呼吸おいてから、軍医タコが吐き捨て口調で言った。
「どうせ食べるのは隊長ですから」と。
【タ●リ神の猪肉】ゲット!!
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