八忍剣士の妨害G『犬崎九十郎』……逃亡
翌日……軍医タコ一行は村営の露天風呂施設に来ていた。
露天風呂は脱衣場から男女混用で、風呂も混浴だった。〔【裸族人類が存在する退屈でない世界】では男女混浴は一般的で。娘や息子は、二十歳を過ぎても普通に父親や母親と一緒に入浴する〕
四つ這いポーズの裸の女性石像の口からマーライオンのように温水が流れる、岩風呂で温泉に浸かりながら、母朧女が言った。
「この温泉が、タ●リ神の目撃例が一番多い場所なんです」
湯船には母朧女を含め、響子、尻目、そしてアルコールが抜けて元にもどったティティスの女性陣と。
凍騎、軍医タコ、それと銀色の宇宙人顔で裸も銀色の薬乳天善がいた。
凍騎は自分の隣に並んで湯に浸かっているニ体の宇宙人を、チラチラと眺めながら……何か得体の知れない出汁〔ダシ〕が、お湯の中に出ていそうだなと思った。
幻之介は連日の母朧女とのセックスで、肉体疲労して館で寝込んでいる。
温泉近くの樹には黒装束の下忍たちが、タ●リ神が現れたら串刺しで仕留めようと、鈴なりになって待機していた。
湯から上がって岩に腰掛けた、天善が筒型陥没した『黒き忍びの里』の垂直面に片側だけある山を指差して言った。
「あの壁山の洞窟から、この温泉にタ●リ神は時々やって来て湯に浸かります」
天善の股間は、ノッペリしていて生殖器の類いは見あたらなかった。
響子が天善に質問する。
「生息する洞窟がわかっているなら、最初からそこに向かっても良かったのでは?」
「洞窟には何が潜んでいるのかわかりませんから……タ●リ神以外の危険な生き物もいるかも……外に出てきた個体を捕獲する方が安全なんです」
その時、フンドシ姿の『犬崎九十郎』と事務員制服姿の『金溜ギラ子』が風呂場にやって来た。
九十郎が言った。
「ついに、八忍剣士も二人だけになってしまった……いざ勝負!!」
九十郎がフンドシを外して全裸になると、勃起チ●コの腰を突き出して言った。
「拙者は『ニンシンの実』を食べた能力者だ!!」
「ニンシンの実? 淫法じゃなくて?」
「そうだ、拙者は初潮がまだ訪れていない女児から、閉径した老婆まで……女なら年齢や体調に関係なく、受胎させるコトができる……さあ、拙者の受精能力に挑む者は誰だ!」
温泉に冷ややかな空気が流れる。
女性陣の呟きが聞こえてきた。
「八忍剣士のリーダーだから、どんなスゴい技を持っているかと思えば」
「期待外れでしたね」
「要するにセックスさえしなければ、女子は妊娠しないから安全だと」
「もしかして、今まで女性との経験が一度も無いとか?」
「百発百中の受精能力というのも、女性からしてみたら困りますよね」
九十郎の顔が途端に、情けない泣き顔の弱気顔に変わる。
「そんな冷めた目で見ないでくれよぅ……誰でもいいから相手をしてくれよぅ。生まれた子供の養育費はなんとか払うからさぁ」
女性陣全員が「しっしっ」と、九十郎を追い払う仕種をした。
九十郎はフルチンで泣きながら、混浴から飛び出して行った。
「うわぁん、だから、こんな能力嫌なんだぁ!!」
飛び出して行く時に、浴場入り口にあった男娼の裸体像を倒して首がもげる。
『犬崎九十郎』……あっけなく敵前逃亡。
八忍剣士、残り一名。
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