七つの婬罪B
【黒き忍の里】薬乳天善の館……和室に和装姿で座る、忍び長の薬乳天善の姿があった。
 腕組みをして胡座〔あぐら〕座りをしている天善の顔は、銀色でアーモンド黒目の宇宙人顔だ。
 天善と向かい合ってオレンジ色の、軍医タコが座っていた。
 軍医タコは天善から差し出された、抹茶をすすって言った。
「結構なお手前で……玉露ですか」
 ぬちゃ──ん。
「それでは、天善どのにお返しを……うげぇぇ」
 軍医タコは曜変天目茶碗の中に、緑色の液体を吐き出す。
 ぐぢゃ──ん。
 軍医タコが吐いた天目茶碗を見て、顔をしかめる天善。
 ぬちゃぬちゃ──ん。
 庭から聞こえてくる奇妙な音を気にしながら、天善が軍医タコに訊ねる。
「ところで、軍医どのは何故に急にこの『黒き忍びの里』に?」
「夢を見ました……あの夢の感覚は、おそらく予知夢ではないかと。鮮明な予知夢でしたので気になりまして」
「ほう、予知夢を」
 ずぢゃ──ん。
『七つ首の竜が海から上陸してきて、八体の傀儡人形とエッチなコトをする』と、いう不思議な夢でした…」
 ぐちゃ──ん。
「…人形は全身真っ黒の操り人形で、まるで名探偵コ●ンに疑似犯人役で登場する。目だけギラギラしている、あの影の人のようでしたね……」
 ずちゃん……ぬちゃッ。
 庭の奥から聞こえてくる、奇妙な音が気になっていた天善が軍医タコに訊ねる。
「さっきから聞こえている、あの変な音はなんですかな? 鹿威し〔ししおどし〕とも違うみたいですが?」
「ああっ、アレは『黒き忍びの里』の女忍び母朧女さんの新しい淫法開発の淫音です。モチつきの臼〔うす〕のように性器を天に向けてひっくり返った体位で、男性が杵〔きね〕でモチをつくように腰を上下させるという」
 べぢゃ……ぬちゃ〜ん。
「だいぶ、練れてきたようですね。ちなみに母朧女さんの淫法開発に付き合っているのは人では、ありませんうちの隊長タコです」
 ぺたぁ──ん。
 天善は性器が空を向く、マングリ返しの体位になった姉の母朧女が、オレンジ色のタコ型宇宙人と交尾している姿を想像した。
 ぬぢゃぬぢゃぬぢゃ……ずぢゅずぢゅずぢゅ……ぺたん、ぺたん。
 淫音が激しくなる。
「隊長の動きが早くなりましたね……マ●コの上で、上下に動いているのでしょう……話しを、わたしが見た夢にもどしましょう。夢の中には天善どのも登場していました」
「ほう、わたしが?」
「はい、夢の中で天善どのは『忍者が二人足りない、忍者が二人足りない』と、困ったように呟いていました」
 話し終わった軍医タコは、腕組みをして考える。
(はて? 海から上がってきた竜の首は七本だったか? 八本だったか? 天善どのの背後に一人……黒い影が隠れていたような?)
 天善が言った。
「八人の忍び? 何かが起ころうとしているのですかな?」
 その時、部屋から見える庭の縁側に宅配便の配達員が現れ。
「お届けモノです、サインお願いします」と、言った。
 荷物を持って、深めに帽子を被った配達員に近づき、確認のサインをして、荷物を受けとる銀色の宇宙人顔をした薬乳天善。
 サインを確認した配達員が呟く。
「薬乳……天善」
 配達員は、いきなり懐刀で天善を刺す。
 腹部から緑色の血を出しながら天善が言った。
「違うから……名前は似ているけれど、薬師寺天膳じゃないから……薬乳天善だから、不死身の忍者じゃないから……刺されると普通に痛いから」
「ウッキキー、不死身じゃなかったんだ……七つの婬罪に倒される八忍の用意をよろしくキキッ」
「お、お前は?」
 飛び下がった配達員は空中回転をしながら、衣服を脱ぎ捨て全裸になった。尾骨から長い猿の尻尾を生やした裸の女は庭の松枝に飛び上がり、サルのように座りながら言った。

「ウキッ、七つの婬罪……第一の罪『無限自慰』のオナン……以後よろしく」
 軍医タコが言った。
「『七つの婬罪』聞いたコトがあります……アナザー・エデンと『裸族人類が存在する退屈でない世界』を支える『天と海を支える女巨人』のヘソ奥に住むという……そうですか、あの竜は七つの婬罪を示していましたか。その七つの婬罪がなぜ忍者と?」
「それは、宅配した荷物を開けてみればわかるウッキキッ」


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あきゅろす。
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