七つの婬罪@

『裸族人類が存在する退屈でない世界……』大海を白波を立てて進む【竜宮島】……けだるい午後、竜宮城の野外テラスで、ビーチチェアに裸体で寝そべっている、裸女・乙姫の姿があった。
 乙姫の近くのチェアには日焼けした水着痕が残る裸体で、うつ伏せになった我美がくつろいでいる。

 クーラーボックスから冷えた缶コーヒーを取り出して、乙姫が言った。
「『裸族人類が存在する退屈でないロクでもない世界』に乾杯」
 プルトップを開けて缶コーヒーを飲み干した乙姫は、いきなり空き缶を握り潰して怒鳴る。
「ちが──う! こんなのは、あたしが望んでいる世界じゃな──い」
 白い水着痕が残るヒップを持ち上げて我美が言った。
「いきなり、どうしたんスか?」
『着衣人類や裸女や裸族人類を支配する』って宣言してから、ずいぶん経過したけれど。あたしたち何もやっていないじゃない……そればかりか、ユルユルとした毎日を送るばかり」
「そうだったスね、すっかり忘れていたっス……今から何か行動起こすっスか?」
「いったい、どこから何を起こせばいいのよ! 宣言した時とは状況が大きく変わっているじゃない……あっという間に世界が変わるワケじゃなし。あ〜ぁ、なんか簡単に裸女や人類を支配する方法はないかしら?」
「そんな安易な方法あるわけが……」

 この時、我美は近くの空間に縦長の洞穴のようなモノがポッカリ開いているのを見た……まるで、ヘソのような穴が異次元への出入り口のように開いている。
(『どこでもホール』? 似ているけれどなんか違うっスね……まるで縦長のヘソの穴?)
 そう思いながら見ていた我美は、ヘソの中から水色の髪をした裸の女がニュッと歩いて出てくるのを見た。
 その女の股間に我美の目は釘付けになる……女の股間から蛇の亀頭が生えていた。膣穴から出ているのではなく……男性性器のように肉体から生えている。
 そして裸女の後ろから、ピンク色のフード付きマントのフードで顔を隠した、六人の者たちが続い現れた。
 時々潮風でめくれる、マントの下は裸体なのが確認できた。
 ヘソ穴から出てきた者たちが、水色髪の裸女を一歩先頭にして横に並ぶ。
 腕組みをして不敵な笑みを浮かべ立つ、チ●コの裸の水色髪女が言った。
「さすが性悪女の乙姫……裸族人類や裸女を支配するという野望の根は、腐っていなかったか……性根は腐っていても、野望は健在だったか。その言葉をずっと待っていた」
 ムッとした乙姫が二本目の缶コーヒーをクーラーボックスから取り出すと、プルトップを開けて言った。
「誰が、マ●コにクモの巣が張っている男日照りで、バーゲン品をさらに値切ろうとするケチな女よ!!」
「いや、そこまで言っていないけれど……『何者だ!?』とか聞いてくれないの?」
「ヘソ穴から出てきた怪しい裸の女と、ピンク色の変態集団に興味なし」
 水色髪の女は内心、あんたたちだって裸でしょうが……と、言いたかったのをグッと呑み込んで名乗る。
「あたしたちは『七つの婬罪』アナザー・エデンと下の世界を繋ぎ支えている『天と海の女巨人』のヘソ穴からやって来た」
 七つの婬罪のリーダーを名乗った女の話しだと、支えている巨人のヘソ奥へは体内に繋がる通路が開通していて、子宮の近くにはすでに小国のようなモノまで建国されているらしい。



 乙姫が冷ややかな視線で婬罪の水色髪リーダーに質問する。
「巨人のヘソ穴って、あんたたちが出てきた穴?」
「あれは、あたしたちがこっちの世界へ行くために作ったプライベート通路……本物のヘソはもっと大きい」
「あっそ」そっけない乙姫の反応。
「…………『何の用事で現れた』とか、聞いてくれないかな」
「聞きたくもない、話したかったら勝手に喋れば」
「もう少し、あたしたちに関心持ってよぅ……あたしたち『七つの婬罪』は、乙姫の願いを叶えるために来た。一瞬でこの世界を望む世界に変えたいと思わない
「どうやって?」




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