インプラントタウンA

 壁は二十メートルほどの長さで、高さは二メートルを少し越えるくらいあった。
 カラフルなレンガ壁は左右から回り込んで自由に両側へ移動できた。
 壁を調べる軍医タコ。
「パズルゲームのように動く壁ですね……色を合わせても壁は消えませんが。なるほど、わかりました、この壁の意味が」
 軍医タコは壁の前に裸忍者と裸海賊を反対側づつ壁に立たせると、触手で壁レンガの配置を操作した。
 裸忍者の前には腰の辺りに抜け穴のような隙間を、裸海賊の前には胸の辺りに隙間を作る。
 軍医タコが二人に言った。
「では、裸忍者さんは壁の穴に上半身を入れて近道するような格好に、裸海賊さんは穴から胸を出してください」
 言われた通りに裸忍者が、上半身を壁から出して。
 裸海賊が乳房を穴から出すと、軍医タコはカラフルな壁レンガを動かして。
 裸忍者の下半身、裸海賊の乳房を壁に固定した。
「お尻が壁の穴から抜けない!?」
「胸が壁に穴から抜けない!?」

 壁から下半身を出した女と、壁から乳房を覗かせた女の壁が完成した。
 乳房と尻を眺めながら軍医タコが言った。
「さてと、それではボディースナッチャー港から活躍の場が無かった響子に、見せ場を作ってあげますか……響子、壁の前に立ってください。尻と胸の間で記念撮影でもする感じで」
 響子が壁の前に立つと軍医タコは、腕時計型の麻酔針発射装置で響子の首筋に速効の麻酔針を打ち込んだ。
 響子は「うッ!?」と短い声を発すると壁に背もたれ座りする。
 我美と犬コロに背を向けた軍医タコは、眼鏡をかけて蝶ネクタイ型の変声マイクに向かって響子の声で喋りはじめた。
「軍医さんに代わって説明しましょう……これは壁を使った新たな性文化サービス『壁穴お尻&乳房恥辱サービス』です……胸やお尻を辱しめてもらいたい女性が男性から弄んでもらって、男性は触らせてもらった料金を女性に渡すというシステムです……もちろん、男性がナメ回したり、クッション代わりに顔を埋めてもかまいません……犬コロ、裸忍者さんのヒップ、裸海賊さんのバストを痴漢するようにイタズラしてください」

 犬コロが嫐の形で壁に立つと、左手で裸忍者のヒップを、右手で裸海賊のバストを円を描くように触りはじめた。
 裸忍者と裸海賊が喘ぐ。
「あッあふッ……壁の向こう側でお尻が触られている……あぁんあぁんん」
「はぁはぁ……胸が乳首がイタズラされている……はぅぅあはぅぅ」

 背を向けた軍医タコが蝶ネクタイを通した響子の声で言った。
「この新しい性サービスを、この地に広めていくのがお二人の使命です……それでは、胸と尻の恥辱をお楽しみください」
 軍医タコが建物の物陰へと去ると、意識がもどった響子は、目の前で揺れている犬コロのチ●コを見た。
 半分寝ぼけていた響子は、そのまま犬コロのチ●コをパクッとくわえた。


『裸女が少しだけ存在する素晴らしい世界』に誕生した風俗カルテF【『壁穴お尻&乳房恥辱サービス』お尻と胸にイタズラをされるコトを望む女性が、イタズラをしたい男性に触らせて男性から触らせた対価を得る性風俗。壁女とのセックスは禁止


 軍医タコが建物の物陰に行くと、そこにもう一匹の軍医タコが立っていた。
 軍医タコが言った。
「やっぱり、裸忍者と裸海賊の肉体にインプラントして、肉体情報を集めていたのは、あなたでしたか……この世界のわたし」
 軍医タコが答える。
「気づきましたか、さすが別世界のわたし」
「この『裸女が少しだけ存在する素敵な世界』に、裸族人間を誕生させるためにデータ収集をしていたのですね……偶然にもあの二人は、忍者と海賊の裸女になってしまいましたが」
「ええっ、その通りです……広場に出現させた壁の意図、よくわかりましたね別世界のわたし」
「わたしは、あなたですから……考えているコトはわかります。この世界に新たな性文化を作るためにあの『壁穴お尻&乳房恥辱サービス』壁を出現させたのですね……この世界のわたし」
「あなたが、各地で性文化を誕生させていると知って……この世界には裸族人類が存在しないので。あなたのように、さまざまな世界を巡って経験を積むコトはできなかった……羨ましいです」
『裸女が少しだけ存在する素敵な世界』の軍医タコが声をひそめて言った。
「次にあなた方が向かう、最終目的地にはラスボスのような裸女がいます……気をつけてください。時々、この町の上空を通過しています」
 その時、天空から甲高い鳴き声が聞こえ。黄金色に輝く人影が通過していくのを見た。



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