黒いサンタの洞窟@

【名も無き雪山】〔黒いサンタの洞窟〕……シンシンと綿雪が降る雪道を、ラッセル仕様になったタコさん号が進んでいく。
 暖房が効いた車内には、犬コロを仲間に加えた裸の男女三名〔我美・響子・犬コロ〕と軍医タコが乗っていた。
 軍医タコが言った。
「次の目的地は雪山の麓〔ふもと〕です……おや? 前方の道端にイースターバニーの裸女が屋台のようなモノを?」
 タコ車は雪の中で和傘の屋根の下、何かを売っているイースターバニー裸女の前にとまった。
 頭に白ウサギの耳飾りを付けて、両手と両足には肘や膝まであるフワフワのウサギコスプレの手袋とブーツ。
 ウサギ尻尾が付いた食い込みTバックを穿いた裸女〔歴女?〕が、にこやかに笑いながら言った。
「そこ行くタコさん……温かい甘酒と、体に塗るだけでポッカポッカになる塗りカイロはいらんかね……あたしも塗っているけれど雪の中、裸でも平気だよ」

 そう言ってイースターバニー裸女は、細いヒモが尻の谷間に食い込んだTバックのウサギ尻尾ヒップを振ってみせる。
 軍医タコが隊長タコのクレジットカードを出して言った。
「それじゃあ、わたしと響子と犬コロの三人分の塗りカイロと甘酒を……我美さんは裸族人類ですが、カイロと甘酒は必要ですか?」
「ボクは暑くも寒くもないからいらないっス……食事も年に一回だけで済むっス」
 ウサギのイースターバニー裸女が、興味深そうに我美の日焼けビキニ裸体を見る。
「一年に一回しか飲み食いしなくていいなんて、羨ましい体……いいなぁ、あたしたち裸女は食べないと生きていけないから」

 軍医タコたちは塗るカイロを体に塗り甘酒で温まる。
 イースターバニー裸女が、彩色された温泉卵を軍医タコに見せて言った。
「お腹が空いていたら、温泉で茹でたイースターエッグもあるよ」
「じゃあ、卵も三個買いましょうか……ところで、この雪山にあなたの他に裸女や、サル知能人間はいますか?」
「この先の大洞窟に裸女が二人いるよ……一人はハロウィーンの裸女、もう一人はクリスマスの裸女……そのクリスマス裸女がこの山を統治しているよ
「サル知能の人間たちは?」
「やつらも洞窟で生活しているよ、この間やっと火を使えるようになったかな……壁画を描く人間も現れはじめた、今なら簡単な縄文土器を作れるレベルじゃないかな」
「洞窟内で火を? 進化しているということですか……早速、洞窟に行ってみます」

 軍医タコ一行はイースターバニー裸女に教えられた洞窟へと向かった。
 炎の明かりが入り口から見える大洞窟の入り口には、裸で悪魔が持つ三ツ又の槍を手にしたカボチャ頭のハロウィーン裸女。
 ジャックリーン・オ・ランタンがチケット売り場の中に裸で座っていた。
 ハロウィーンの飾り付けがされた売り場には、火が灯ったカボチャ灯籠が飾られて置いてある。
 ハロウィーンの歴女がタコさん号を見て言った。
「いらっしゃい……『黒いサンタの洞窟』にようこそ、外は寒かったでしょう。車は雪が積もらない洞窟の駐車スペースに停車してお入りください……入場チケットはココで購入してください」

 洞窟内に入ると、炎の明かりの中……サル知能人間たちが原始生活をしていた。
「ここの人間たちは今まで見てきたサル知能から、原始知能に進化していますね……これなら、学習させれば、あのエロ文化ができそうですね」
 軍医タコがそんなコトを考えていると、洞窟内にシャンシャンとクリスマスベルの音色が響き。
 天井から赤と緑の飾りが巻かれたロープにぶら下がった裸の女が、振り子のように頭上を往復して叫んでいた。
「泣く子はいねぇがぁ! 悪い子はいねぇがぁ! 毎日がメリークリスマス!! さあ恵みの肉を食べろ! 愚民ども!」
 裸体で黒いサンタクロース帽子を被り、黒いブーツを履いた黒いサンタ裸女が黒い袋の中から撒き散らす。
 紙袋に入ったローストターキーやフライドチキンに群がった原始人間たちは争うように貪る。
 黒いサンタ裸女は垂らしたロープを伝わり、ゆっくりと地面に降りてくると軍医タコに向かって言った。
「タコぉぉ、黒いサンタの洞窟に何しに来た……茹でダコにして食っちまうぞ」
 黒いサンタ裸女の口が悪いのは、赤いサンタ裸男のようにソリ移動ができない僻みからだった……黒いサンタは赤いサンタの後から、雪の中を歩いてついていくと伝承されていた。

※らしいです、寂しく歩いてソリについていって、悪い子を袋で叩くそうです(詳しくは検索)



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あきゅろす。
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